まだまだいなかのねずみ

日本の片隅で妻・母・非正規雇用者している栗ようかんの思索と日常

亡くなった両親のこと

やっぱり、あの系列施設か!

ちょっと前に職員による暴行でお年寄りが亡くなった老人ホーム。 片時も忘れたことのない名前でした。 父を入れてしまった有料老人ホーム。 100人もの要介護老人を受け入れながら、 夜間は職員たった1名だった有料老人ホーム。 経営主体が不動産屋だけあ…

響声破笛丸

幼稚園で働き始めてすぐ、「幼稚園の洗礼」を受けて10日ほど寝込んだ。 あれから大分経つと言うのに、声だけどうしても治らない。 「おおかみと七ひきの子やぎ」のおおかみを 普段の話声で出来そうなほど、かすれた声のまま。 何より、歌おうと思っても悲し…

昨日はかあさんの誕生日でした

日付が改まって2月14日になってしまいました。 …ごめんね、かあさん。 特別なこと、何もしなかった…。 昨日2月13日は亡くなった母の誕生日でした。 昭和11年生まれでしたので、もしも生きていたならば83歳。 それでもまだ、女性の平均寿命には達していなかっ…

不思議な電話

今日未明、夜中の3時半頃のこと。 テーブルの上に置いておいたスマホが鳴った。 びっくりして飛び起きた。 それぞれ一人暮らししている、 娘か息子に何かあったのかと思って。 しかし、不思議なことに電話には着信履歴が残っていなかった。 わたしが持ってい…

母のリズム、わたしのリズム

平日夜、近所の下宿屋さんで夕飯の後片付けのパートをしています。 毎日の仕事の締めくくりは、食器や台を拭いたふきんやタオル類を洗うこと。 食器洗い用洗剤を溶かした洗い桶で手洗いします。 「ジャジャジャジャジャジャジャジャジャン」とこすり洗いして…

高倉健さん、森光子さん、森繁久彌さん、そしてかあさん

11月10日。 高倉健さんが2014年に、 森繁久彌さんが2009年に、 そして森光子さんとわたしのかあさんが2012年に、 それぞれ亡くなった命日。 かあさんが亡くなって丸三年か。 この三年、ものすごく長かったようにも思う。 生きていたかあさんに最後に会ったの…

「よっ!」「おっ!」

ボランティア活動の日のひそかな楽しみ。 それは、亡くなったとうさんとよく似たGさんと 握手して帰って来ることだ。 昨日も、ダンスホールの女王FさんやFさんの大親友のSさん、 Fさんに暴言を吐かれているTさんなどに声を掛けて握手し、 ドア近くの席に座っ…

戦争は日本人の間にも消えないわだかまりを残した

*文中、何か所も差別的な表現が出て来ます。 読んでお気を悪くなさる方もいらっしゃるかも知れません。 でも、父が話していた通りを記す必要があると思い、 あえてそういった表現を用いました。 最初にお詫びいたします。 70年前、とうさんは15歳、ミッショ…

パラソルとレースの手袋

「差すだけで体感気温が5度下がる」 という日傘を持っている。 分厚い生地で出来た 裏が銀色の日傘。 いかにも「UVカット」の実用本位 優雅とはほど遠い代物だ。 亡くなったかあさんはずーっと昔から日傘を欠かさないひとだった。 生成りや黒のレースの日…

百日紅

町のそこここで百日紅の花が咲いている。 その濃いピンクの花を見るたびに かあさんのことを思い出す。 「子供だった頃ね、百日紅の木から落っこちたことがあったのよ。 登ってるうちにつるん!と手が滑ってね。 ・・・あとで怒られた、怒られた、 『あんた…

登山≠中高年の趣味、じゃないかなあ。

亡くなったとうさんは、学生時代からの筋金入りの山男で。 勤めていた高校では登山部の顧問をしていた。 春休みと夏休みは、それぞれ春山合宿と夏山合宿へ生徒を引率して行った。 顔と首、腕まくりしたシャツから出て居た腕の部分だけが真っ黒に日焼けして、…

デジタルレコーダーの中に・・・。

片付けをしていたら、古いデジタルレコーダーが出て来た。 電池を入れて、フォルダAを再生してみたら・・・。 懐かしいとうさんの声が聞こえて来た。 そうだった、そうだった。 とうさんが元気なうちに、 昔のいろんな話を聞いてまとめておきたいと思って、 …

とうさんの「夢うつつ」~薬の副作用による「パーキンソン症候群」~

何かと話題になっていた加藤茶さんが、 実は薬の副作用による「パーキンソン症候群」を起こしていたことが ニュースになっていた。 亡くなったとうさんも、薬の副作用による「パーキンソン症候群」を起こした。 そのことについて、記事にしようと思う。 かあ…

かあさんの好きだった花を持って

仙台へ墓参りに行って来た。 報告しなくちゃならないことがちょっとあったので。 前日に産直で花を買うことにした。 両親の墓参りの時には、菊の花を買わないことにしている。 亡くなったかあさんが嫌っていたから。 「お母さんは菊の花が嫌いだったっけなあ…

一人用ドリップコーヒー

香典返しとしてもらった、一人用ドリップコーヒーを淹れた。 ほんのちょっとだけお湯を注して粉を蒸らす。 ちょっと時間を置いてからゆっくりゆっくりお湯を注す。 少しでも急ぐと小さなフィルターからお湯があふれそうになる。 ゆっくりとコーヒーが滴るの…

最後の一献

「マッサン」に触発された訳ではないが、 最近夫が晩酌にハイボールを飲んでいる。 父が亡くなったあと、実家を整理した際に出てきた酒を、 「あんたのとこでも少し持ってって」と言われてもらったものだ。 私立高の教員だった父のもとへ 子供のことで相談に…

「わたし、あまり長生き出来ないと思いますが」と言われたとうさんは・・・。

かあさんは結婚前とても病弱だったそうだ。 腎盂炎になったこともあったし、 肋膜炎になったこともあった。 「高校を卒業するまで、しょっちゅう学校を休んで家で寝てなくちゃならなかった。 1か月単位で休んだことも何度もあった」 本人からその類の話を何…

ベルツ水

右手の人差し指が手荒れで割れてしまった。 時々ヘパリンが入ったクリームを塗って寝てるんだけど、 血行があまり良くないせいか、 毎年秋が深まる頃から初夏を迎える辺りまで、 ひどい手荒れで苦しむことになっている。 亡くなったかあさんは手荒れしたこと…

一緒に悼みたかったんだよ・・・。

NHKのドラマ「昨夜のカレー、明日のパン」を見ていてぼんやりと感じたこと。 わたしはとうさんの死を姉さんと一緒に悼みたかったんだろうと。 小さかった頃遊んでもらったこと、いろんなところへ連れて行ってくれたこと、 面白い話を聞かせてくれたこと、お…

仙台市内にあるブラック老人ホームの話

わたしは今大激怒している。 介護付き有料老人ホームでは、法令により週に2回の入浴が義務付けられているそうだ。 とうさんが入っていた老人ホームでは週に1回だけ。 週にもう1回増やしてもらいたければ、1回当たり1000円プラス消費税を払わなければ…

かあさんの手

「わたしの手、働きものだったと思わない?」 病院の待合室で、かあさんが言う。 ・・・働きもの? ううん、違うよ、かあさんの手はね、「魔法を生み出す手」だったよ。 泥だらけの野菜が、丸ごとの魚が、 目にも美味しい料理になった。 古ぼけたとうさんの…

救急車を見るたびに

緊急走行を知らせるサイレンを聞き、 赤色回転灯を点灯して走る救急車を見ても、 以前は何も感じなかった。 でも、今はちがう。 皆にとってはいつも通り、何と言うこともないその瞬間が、 あの中に乗っている人とその家族や知己にとっては、 大変な闘いの始…

悪徳商法と両親

生活支援員の研修に行った。 高齢者や障碍者などを水際で被害から守るため、 悪徳商法についてのレクチャーを受けた。 送り付け商法やらSF商法(SF=新製品普及会なんだって!)やらの話を聞きながら、 わたしは亡くなった両親のことを考えていた。 わたしの…

父さんのポリシー

「女や子どもは殴らない。 それが男というものだ。 暴力を振るっていいのは自分より強い相手に対してだけ。 弱い者いじめは絶対にいけない。 なぜなら、それが男というものだからだ。」 これが、亡くなった父さんのポリシーだった。 学生時代陸上の選手で、…

「テッシュ」

認知症になった義父を歯医者へ連れて行ったときのこと。 治療を終えて待合室に来た義父は、 腰を下ろすなり義母に言った。 「テッシュ」。(←原文ママ。田舎の老人なので、こう発音する) 義母は無言でバッグをごそごそやってポケットティッシュを取り出し、…