まだまだいなかのねずみ

日本の片隅で妻・母・非正規雇用者している栗ようかんの思索と日常

押井守著「やっぱり友だちはいらない。」を読んだ

大学でも人間関係に悩むことが多い娘のために、
何か参考になる本はないものか…と探していて、この本を見付けました。

攻殻機動隊」や「イノセンス」などの作品で知られる、押井守監督の著作。
あまりにタイトルが過激なのと、
監督の作品自体非常に難解なものが多いのとで、
娘にオススメする前に自分で読んでみることにしました。

「やっぱり」とタイトルに付いているのは、実は「友だちはいらない。」という本に
2章分を新たに付け加えたものだから、とのこと
SNSを取り上げたものと、総括的なものとが増補部分)。
読み終えた感想は…ぜひ、娘に読ませてやりたい、
いや、うちの娘だけでなく、人間関係で悩むことが多い若いひとみんなに
声を大にしてオススメしたい1冊だと感じました。

内容は詳しくは書けませんが、ちょっとだけご紹介。
監督は「友だちがいない=欠陥人間」のレッテルを貼ること自体がおかしい、
「友だちを持たないこと」だって、立派な人生の選択肢の一つであるはず、とおっしゃっています。
ただ、「友だちを持たない=社会から孤立すること」という意味では決してなく、
大切な4つのものと関係をきちんと持てれば、友だちはいらないのだ、と
おっしゃっているのです。
その4つ(人によっては4つめについては「?」と思うかも知れませんが)のチョイスが
わたしにとっては非常に納得のいくものでした。
また、「友だち」は生きているひとに限る必要はない、
本や映画の中に友を持ったっていいのだ、ともおっしゃっています。
さらに、若いひとたちの生活に最早無くてはならないものとなっている
SNSの世界を「中世の暗黒時代と同じ」と言い切っておられるのです。
普段、わたしたち大人が言いたくても言えないことを、
ズバズバと言い切ってくださる様は、一種の小気味よさを感じさせるほどで…。
スタジオジブリ鈴木敏夫プロデューサーや
高畑勲監督、宮崎駿監督などに対して非常に批判的な言説が多いのは
ご愛敬、と言うところでしょうか)。

10代から30代の若い世代の死因の1位が「自殺」であり、
過去最悪ペースの自殺者数のまま推移しているとニュースで報じられています。
さらに、その自殺原因の多くが人間関係にあるとも。

♪友だち100人、できるかな?
 100人で食べたいな、富士山の上でおにぎりを~
と言う歌がだいぶ昔に作られ、今も歌われていますね。
わたしたちは知らず知らずのうちに「お友だち至上主義」とでも
言うべきものに幼少期から毒されてしまっているのかも知れません。

人間関係、特に「友だち」との付き合い方で悩んでいる方、
是非読んで見てください。
オススメですよ。