「スイッチを描いて!」
今日、幼稚園に行ったら、駆け寄って来た年中組のYくんが
「先生、虹、描いて」。
年長組の女の子が虹の絵を描いているのを見て、
羨ましくなった様子だった。
心の中で「赤、橙、黄、緑、青、藍、紫」と唱えながら
色鉛筆で虹を描いていたら、Yくんが「コップも描いて」と言う。
聞けば、コップから虹が出ているようにして欲しいということだったので、
虹の先にコップを描き、細く伸ばした虹の先端がそこから出て来るようにした。
「これでいい?」とYくんに聞いたら、
「ボタンがないよ、これ」と言う。
意味が分からず「ボタンって何のボタン?」と尋ねたら、
「スイッチのボタンに決まってるでしょ!
スイッチが無ければ虹が出せないの!
何でもスイッチが要るでしょ!
先生、そんなことも分かんないの?!」と怒鳴られた。
「えーっ、スイッチが無くても虹が出て来るコップの方が素敵じゃない?
そんなコップがあったら嬉しいけどなあ、先生」と言ったら、
「そんなのある訳ない!
スイッチが無ければダメなの!
先生はバカだなあ!」。
そして、自分で黒い色鉛筆を握り、
虹の真ん中に歪んだ円形っぽいものを描き込んで満足そうにした。
(スイッチが無ければダメ、
スイッチが無ければ何一つ起こらない。
そういう認識なんだなあ…)
15年ほど前までは現役の幼稚園児のママだったはずなのに…。
あまりに激しい時代の変化にクラクラっとしてしまった、
おばちゃん先生なのだった。