「小さいことは気にしない、大きいことも気にしない」
タイトルを見て、「じゃあ、何も気にしないってこと?」
と思われたことでしょうね。
「小さいことは気にしない、
大きいことも気にしない。
笑って笑って、
元気で行こう!!!」
これは、わたしたちボランティアグループが月に1度活動を行っている、
老人ホームでの締めの言葉です。
簡単な振りを付けながら、利用者さんもわたしたちも全員で唱和します。
わたしたちの老人ホームでの活動も丸6年を過ぎました。
6年前からいらっしゃる方も何人もいらっしゃいますが、
歩けなくなったり、目や耳がダメになってしまったりしています。
そして、もちろん、二度と会うことが出来なくなってしまった方たちも。
「いよっ、待ってました!楽しみにしてたよ!」
そう元気いっぱい声を掛けてくださる方もいらっしゃいますが、
その方だって、大好きだったご主人に先立たれて老人ホームに入ったのです。
長生きすることは、たくさんの悲しみを経験することでもあります。
だから、わたしたちは毎回、冒頭に挙げた言葉を唱和するのです。
月にたった1度、1回一時間足らずの活動が皆さんにとって
果たして役に立っているのかどうかも分かりません。
だからこそ、せめて、少しでも皆さんの気持ちが楽になるように、
一緒に過ごした時間の楽しさが、少しでも長持ちするように願って、
精一杯の笑顔ととびきり明るい声で唱えるのです、
幸せになれる呪文か何かのように。
脳ってとてもだまされやすいものなのだそうです。
毎日の生活の中で辛くなってしまったとき、出来るだけ笑顔を作りながら
「笑って笑って、元気で行こう!!!」と小さな声で言ってみると、
ちょっとだけ元気になれるような気がします。