まだまだいなかのねずみ

日本の片隅で妻・母・非正規雇用者している栗ようかんの思索と日常

映像はきれいだったけど、原作ファンとしては・・・~2011年版「ジェーン・エア」を見た~

以前別の記事にしたように、
ジェーン・エア」は小学校の頃からのわたしの愛読書でして。
不細工で不愛想で愛に飢えていて、でも意志の強さと身に着けた教養と、
プライドと真っ直ぐな心だけを武器にジェーンが生きて行く物語に、
いつもいつも感動してしまうのですね。
そして、当然・・・ロチェスター様ですよ!!!
原作に従うと見た目はブ男で背は普通くらい(イギリスの普通だけど)、
ただしものすごく(分厚い外套を着ててもひと目ですぐ分かるくらい)ゴツイ身体つきをした、
非常に不機嫌そうで暗い表情と印象的な黒い目と、
豊かな低い声の持ち主である40くらいの男性、ということになるんですね。
 
この作品でジェーンを演じているのはミア・ワシコウスカ
名前からすぐ東欧系の方だと分かりますね。
(オーストラリアで育ったポーランド系の方のようです)
バレリーナのような華奢で美しい体型の持ち主で、
原作のジェーンのイメージによく合っていると思いました。
ただ、原作でのジェーンは「尼僧のような外見と態度なのに、
鋭い意見を遠慮なく言う」みたいなことをロチェスター様に言われていますが、
この映画でのジェーンからはそういう「慎み深くあるようにと教育されたはずなのに、
意志の強さみたいなものが時折顔を出してしまう」という感じが全く伝わって来ません。
だんだんロチェスター様に心惹かれていくようになり、
笑顔を見せたり表情が和らいでいったりする過程がなく、
ジェーンは殆ど全編を通してむっつりと陰鬱な表情のままです。
さてさて、一方のロチェスター様。
演じているのはマイケル・ファスベンダーです。
わたしは、この人の作品を初めて見ました。
いやあ、ものすごく素敵な俳優さんで、目がになってしまいました!
・・・ロチェスター様では絶対にないけれど。
だって、まず第一にこの人は華奢で繊細過ぎだし、原作のロチェスター様が持っている
荒々しさや「力」を全然感じさせません。
それから、ジェーンを見る目が結構最初の方からエロチックな気がしましたね。
(ある方のブログに「視線だけで女性を妊娠させられる目」とありました。
言い得て妙、と思いましたね。)
ロチェスター様は(とある事情から)一時期放蕩していたことがあった人なのですが、
女性を性的な眼差しで見るような男性とは対極にある人物という印象を受けます。
だから、フェロモン全開!みたいなロチェスター様には
「???違う気がする」という激しい違和感を覚えました。
 
映画は2時間ほどの長さなので、原作のエピソードをバッサリとカットしています。
エッセンスだけを抽出した感じで、全体的に非常に物足りない印象です。
(個人的にラストがあっさりし過ぎですごーくガッカリしました。
だって、原作の最後の部分がすごく好きなんですもん)
しかし、映像や衣装などは素晴らしいです。
特に、ロウソクの明かりしかなかった、あの時代の館の薄暗い感じを、
これだけよくぞ捉えた!とびっくりしました。
技術の進歩ですね。
 
この映画があまりに物足りなかったので、BBCティモシー・ダルトンを起用して作った、
1983年度版のテレビシリーズを某動画サイトで見ています。
・・・いやあ、ティモシー・ダルトンロチェスター様、最高です。
ティモシー・ダルトンは「007」というイメージしかなかったのですが、
緩急自在な演技で、原作のイメージそのままのロチェスター様を演じています。
(原作と違うのは背が高すぎることと、すらりとした体型で手足が長くカッコ良過ぎること)
それに、ドラマ版の方が全体で5時間分くらいあり、原作のエピソードを
ほぼ忠実に網羅しています。
ジェーンにロチェスター様が求婚するところなんか、
あまりのロマンチックさに何度見てもめまいがしてしまいそうになります。
字幕はありませんが、ティモシー・ダルトンの発音が非常に明瞭なので、
(そしてあまりにも原作を繰り返し読んだので)違和感なく楽しめました。
加えてジェーン役の女優さんが、「ジェーン・エア」の原作者である、
シャーロット・ブロンテにあまりにもそっくりな外見でびっくり。
シャーロット・ブロンテはブロンテ姉妹の中で唯一写真が残っているのです。
とある作家に「見世物以外で出会ったもっとも小柄な女性」と言われたほど背が低く、
写真の容姿はお世辞にも美人とは言えない感じです。
 もっとも「ジェーン・エア」自体、シャーロットの自伝的要素が色濃いそうなので、
ジェーンがシャーロットとそっくりなのは当たり前のことなのですが。)
ものすごく背が高いティモシー・ダルトンと並ぶと「チッチとサリー」状態になって、
何だかそれだけで胸がキュン!としてしまうのですよ。
DVD買うなら、BBC版かなあ。
 
・・・などと書きながら、先日「X-MEN ファーストジェネレーション」をレンタルしてしまいました。
お目当ては・・・そう、マイケル・ファスベンダー!!!
わたし自身はX-MENみたいな映画が結構苦手なので、
マイケル・ファスベンダーが出て来るところだけ早送りで見ちゃってちょっとドキドキ。
ぴったりした服を着ると、ちょっと頭が大きくて西洋人にしては脚が短めか?!と思いますが、
何とも言えないクールな雰囲気がたまらない感じ。
ああいう雰囲気の俳優さんはアメリカにはいませんね。
若かった頃のレイフ・ファインズと言い、マイケル・ファスベンダーと言い、
ヨーロッパの俳優さんは大人の雰囲気があって本当にステキ。
 
・・・という訳で、マイケル・ファスベンダーを知ることが出来ただけで、
ジェーン・エア」を見て良かったなあ、と思うわたしなのでした・・・えへへ。