まだまだいなかのねずみ

日本の片隅で妻・母・非正規雇用者している栗ようかんの思索と日常

原作のファンでも大丈夫です!~「リトルプリンス 星の王子さまとわたし」を見た~

娘と公開初日に見てきました。

娘が土曜日も学校で講習があった関係で3D吹替版しか見られず。
(当地では字幕版の公開なし・・・ジェフ・ブリッジズのファンなのでがっかり)
以前はメガネの上から3Dメガネを掛けなければならず、
始終手で押さえて置く必要がありましたが、
今はクリップオンタイプのものがあるんですね。
押さえる必要もないし、以前のものに比べて格段に目が疲れなくなりました。

さてさて、わたしにとってサン・テグジュペリの「星の王子様」は、
人生のバイブルとして大切にしている物語で、
9歳の頃から折に触れては読み返している心の宝物。
「星の王子様」の後日談、という触れ込みの当作品を「是非見なければ」と思う一方で、
「見たことを後悔するくらいなら、最初から見たくない」という気持ちもありました。

ネタバレを避けるために内容には触れませんが、
わたし、この作品を見て本当に良かったと思いました。
さらに言うならば、今、このタイミングで見られて良かった、と心から思いました。

原作を読んでいない方は、ちょっとお話に付いて行くのが大変かも知れません。
原作を読んだ方も、ちょっと「?」と感じる部分があるかも知れません。
(それについては、ネタバレになるので別の記事にする予定です)
それでも、出来るだけ多くの方に見てもらいたい、とわたしは感じました。

肝心の「星の王子様」原作部分は、感動するほどのクオリティでストップモーションアニメ化されています。
(人形を使ってコマ撮りして作ったアニメーションのことです)
操縦士が、王子様が、あんな風にアニメーションとして動き、
あの世界観が素晴らしいクオリティで目の前に広がったのを見た瞬間、
わたしは感動のあまり危うく声を上げて泣いてしまうところでした。
若干の違いはあるものの、
原作が今作の中で非常に大切に扱われていることに大変好感を持ちました。

「後日談」の形を取っているところが今作の肝であり、
そこに監督の言いたかったことが強力に込められているように感じました。
それについても、どうしてもネタバレを避けられないため、別の記事で触れることにします。

今作はアニメーションではありますが、小さなお子さん向けではありません。
(原作自体、ちゃんと理解するのが実はとても難しいお話です。
小学校3年だった頃のわたしは、お話のごくごく一部分しか理解していませんでした。
およそ50歳の今読み返しても、新たな気付きがあるという、驚きの物語なのです)
中学生以上のお子さんと、大人の皆さんにおススメしたい作品です。

原作「星の王子様」冒頭には、こんな献辞があります。

        レオン・ウェルトに
わたしは、この本を、あるおとなの人にささげたが、子どもたちには、すまないと思う。
でも、それには、ちゃんとした言いわけがある。
そのおとなの人は、わたしにとって、第一の親友だからである。
もう一つ、言いわけがある。
そのおとなの人は、子どもの本でも、なんでも、わかる人だからである。
いや、もう一つ言いわけがある。
そのおとなの人は、いまフランスに住んでいて、ひもじい思いや、寒い思いをしている人だからである。
どうしてもなぐさめなければならない人だからである。
こんな言いわけをしても、まだ、たりないなら、そのおとなの人は、むかし、いちどは子どもだったのだから、
わたしは、その子どもに、この本をささげたいと思う。
おとなは、だれも、はじめは子どもだった。
(しかし、そのことを忘れずにいるおとなは、いくらもいない。)
そこで、わたしは、わたしの献辞を、こう書きあらためる。
        子どもだったころの
        レオン・ウェルトに
                    (岩波少年文庫版 内藤濯訳による)

昨日は夕方からの上映だったため、
見終わって帰る時間には、頭上にはきれいな星空が広がっていました。
わたしと娘とは、並んで黙って歩きながら、
二人とも星空をずーっと見上げておりました。

この作品を見ると、多分、もう会えなくなってしまった大切なひとのことを思いながら、
あなたも星空を眺めたくなることでしょう・・・。