まだまだいなかのねずみ

日本の片隅で妻・母・非正規雇用者している栗ようかんの思索と日常

Stevie Wonder!!!Stevie Wonder!!!Stevie Wonder!!!

6月1日はスカパー!の無料放送日だった(らしい)。
もっと早く気付いていればウェス・モンゴメリーの番組なんかも録画出来たんだけど、
残念ながら時すでに遅し・・・残念。
せっかくなので、スティービー・ワンダーの2008年のライブを録画する。
 
今を去ること33年前。
わたしが生まれて初めて自分でチケットを買って行ったライブが、
スティービー・ワンダーのライブだった。
今はもう無くなっちゃったけれど、川内にあった仙台市スポーツセンターで。
かのスティービー・ワンダーが、仙台みたいな田舎の、
しかも収容人数が多分2000人入るかどうか?!
みたいな小さなホールによく来てくれたものだと思う。
(あの頃はそれだけ日本の景気が良かったということなのだろう)。
 
・・・あの時のライブの素晴らしさと言ったら!!!
4歳からずっと音楽を続けていて、
何十回もステージ(ちっちゃいのも含めれば)に立った経験もあったけれど、
あんなにも音楽が素晴らしい力を持っていたことを、
わたしはあの晩初めて知った。
ティービーのライブはただ単に「音楽を演奏する」というものではなかった。
こう、何と言ったらいいのいか、仙台市スポーツセンター全体が、
ティービーの持つエネルギーのようなものにすっぽりと覆いつくされ、
わたしたち観客はその中にしっかりと包み込まれていた感じ。
そこでわたしたちがスティービーから受け取ったものは、
深い愛であり、激しい喜びであった。
「トテモ、アイシテル」
ティービーは日本語に節を付けて歌い、わたしたち観客にも歌うよう要求した。
「トテモ、アイシテル」「とても、愛してる」「トテモ、アイシテル」「とても、愛してる」
そのコール&レスポンスがとてつもないカタルシスを生み出し、
わたしはいつの間にかほろほろと泣いてしまっていた。
「音楽って・・・こんなにも・・・素敵なものだったんだ・・・」
 
午後6時から始まったライブはたっぷり3時間以上続いた。
アンコール曲が終わり(確か3曲ほどアンコールに応えてくれたと思う)、
帰路に就いても興奮は収まらなかった。
しばらくしてから、わたしの両方の手のひらが腫れ上がり、
声もすっかりしわがれていることに驚いた。
全く無意識のうちに、3時間ずっと手をたたき、叫び声を上げていたらしいことに、
その時初めて気が付いた。
 
あれからどれだけのライブに足を運んだことだろう。
マイルス・デイビスとギル・エバンスも聴いた、
エリック・アレキサンダーもベニー・グリーンもビル・チャーラップも聴いた、
チック・コリアもハリー・アレンも、その他たくさんたくさん聴いたけれど、
あれほどの感動を音楽からもらったことは、
その後ほんの数えるほどしかなかったように思う。
(その数少ない感動を与えてくれたのは、TAKE6)。
 
スカパー!で放送されたライブは、文字通り綺羅星の如き名曲のオンパレードだった。
スティービー・ワンダーは1970年代から80年代にかけて、
音楽の神に愛され続けていたのだと思う。
そうでなければ、あんなにも素晴らしい音楽を次々と生み出せる訳がない。
ライブの最後、スティービーは観客にメッセージを送っていた。
2006年に大好きだった母親が亡くなったこと、
その母親が夢に出てきて、これからもあなたに出来ることを続けなさい、
と言ったこと、
ファンと家族とに支えられて、成功し名声や幸せを手に入れることが出来、
さらにはマーティン・ルーサー・キングJr.の誕生日を祝日にする活動や、
アパルトヘイトに反対する運動も成功させることが出来たこと、
そしてそれに対する深い謝意を表した上で、
こんなことを言っていた。
「あなたの心を誰かを愛するために使ってください。
大きな心の持ち主なら、どうか全ての人を愛して欲しい」と。
 
恥ずかしい話だけど、テレビを観ながらわたしはまたしてもほろほろと泣いてしまったのだ。
15歳だったあの日と同じように。