まだまだいなかのねずみ

日本の片隅で妻・母・非正規雇用者している栗ようかんの思索と日常

「認知症」を見分ける目安になること

義父母は検査結果が出る前に
遠くへお嫁に行った義妹の許を訪ねることにしたそうだ。
当然、夫は義妹に義父の認知症について説明。
そこで義妹から「ああ、そうだったのか、実は去年ね・・・」
と出て来た話があった。
 
去年、義妹の許を訪ねた義父母。
義父はちょっとしたことで激昂し、
義妹の子供たち(小5と小1)の見ている前で
義母のことを物凄い勢いで怒鳴りつけたという。
しかし、義父母と同居していた頃、散々義父のDVを見ていた義妹は、
あまり不審に思わなかったらしい。
 
わたしが3年前、義父のことを「認知症では?」と疑い始めたのも、
全く同じシチュエーションだった。
娘の中学入学に当たり、保証人が必要になったので、
義父に頼みに行った時のこと。
義父は自分の職業欄に何と書くかで数十分間も迷っていた。
ようやく書く段になると、今度は「万が一の間違いがあってはいけないから、
漢和辞典で調べて書く」
ずっと義父の様子を見てイライラしていた義母が、うっかり
「わたしが書いてあげましょうか?」と言ったところ・・・。
義父は突然激昂、凄まじい剣幕で口汚く義母を罵倒したのだ。
・・・わたしだけでなく、娘も見ている前で。
義父のDVについてはちらちらと漏れ聞いていたから知ってはいた。
でも、結婚以来20年以上、わたしの前で義父は一度も尻尾を出さなかったのだ。
それが、わたしだけでなく、娘も見ている前で!
今になって思えば、あれがわたしが感じた
最初の異変だったように思う。
 
そう言えば。
亡くなったわたしの母も、認知症になっていた(と思う)。
これまた亡くなる3年ほど前のこと。
息子が高校に合格したことを実家に伝えると母は、
「明日お祝いを持ってあなたの家へ行くから」と言った。
片付けが何より苦手なわたしの家は、
急に母に来られても大丈夫な状態ではなかった。
「ごめん、家の中がひどく散らかってるから。
明日じゃなくて、何日か経ってからにしてもらえる?」
そう何度お願いしてもダメだった。
「明日行くから。散らかってたって構わないから」の一点張り。
小さかった頃からずっと、母に
「片付けが悪い。だらしない。」と怒られてばかりいたわたしは、
どうしても母に散らかった家を見せたくなかった。
万事休す。
そう思ったわたしは、とうとうこう言ってしまったのだ。
「明日はどうしても来てもらう訳に行かないの。
どうしても明日じゃなければ来られないんだったら、
大変申し訳ないんだけど、お祝いだけ送ってもらえる?」と。
途端に、電話の向こうから伝わって来る空気が激しい怒気を帯びたのが分かった。
「ああそう。お金だけもらえればそれでいいってことね!
よく分かったから!」
母はそう激しい口調で言い放つと、電話をバシッと切ってしまった。
それからしばらくして、春休み、仙台に新入学に必要なものを買いに行ったついでに、
実家へ家族4人で顔を出した。
その時、母は父にどんなに促されても「イヤイヤ」をして、
わたしたち家族と一緒の部屋に来ようとしなかった。
以前の母だったら、子どもたちや夫が一緒の時には、
何食わぬ顔をしていつも通りに振る舞ったはずなのに。
「何だか様子がおかしいのでは?」
と母に関して感じた、これが最初の出来事だった。
その後の3年間に何度も
「お母さんの様子がおかしいよ。
うつ病認知症になったのでは?」と父に話したものの、
母の異変をどうしても認めたくなかった父は、
いろいろな理由を付けて「お母さんは大丈夫だ」と言い続けた。
母が亡くなる10日前、ようやく父を説得して予約を取った「認知症外来」も、
「どこで診てもらうの?」と尋ねた母に父が正直に答えてしまい、
「家事だってちゃんとやってるのに、人を馬鹿にして!」と母が受診を拒否、
結局は予約をキャンセルすることになってしまったのだった。
でも、実は母自身が一番認知症になってしまったことを自覚し、
誰にも話せない不安と恐怖で大変だったのではないかと思う。
「あたしは、どうせあとは死ぬだけなんだから、放っておいて!」
亡くなる数か月前まで、母はそう言って全てを拒絶し続けた。
その真意を測りかねてわたしたちは困惑するばかりだったのだが、
あれは、多分「わたし、一体どうしちゃったのかしら?
これから一体どうなってしまうのかしら?」という母の不安な気持ちが
言わせていた言葉ではないかと今になって思う。
 
・・・という訳で。
ようやくタイトルにした、
「『認知症』を見分ける目安になること」である。
それは、
外孫の前で「らしくない」行動を取ったら要注意!
ということ。
しょっちゅう会う訳ではない外孫、
その前で祖父母は、自分を出来る限り良く見せようとするはず。
それが出来なくなるということは、相当の注意信号と思っていい。
サンプル数は少ないが、結構確実に早期発見の手がかりになることだと思う。