まだまだいなかのねずみ

日本の片隅で妻・母・非正規雇用者している栗ようかんの思索と日常

音楽は映画にとって非常に重要な要素です~「百日紅」をみた~

杉浦日向子さんの「一日江戸人」はわたしの愛読書。
その杉浦さんの作品「百日紅」がアニメ化されたというので、
娘と一緒に見に行った・・・一抹の不安を抱きつつ。
と言うのも、作品の監督原恵一さんには「カラフル」で
非常にがっかりさせられた経験があるから。

結論から言うと・・・再びがっかりさせられることになった。
話はとても良かったし、映像も素晴らしかった。
特に、富嶽三十六景の中に主人公たちの乗った舟がピタリとはまる辺りは、
「これぞ、アニメの醍醐味!!!」という感じがして感動すら覚えた。

では、何が良くなかったのか。
「音楽」である。
全編、ハードロックが流れる作品だったのだ。
それについて原監督は「創作活動の際、
常にハードロックを流していた原作者へのリスペクト」だと説明しているそうだが・・・。
はっきり言って、作品がぶち壊しになっていたと思う。

「音楽なんて、そんなに重要なファクターなのか?」
と思う向きには映画「レディホーク」のことをお話しなければなるまい。
これは、中世ヨーロッパを舞台にした非常にロマンティックかつ壮大な物語で、
ミシェル・ファイファーの一番美しかった時期をとらえた作品)。
映像も非常に美しかったし、どう考えても素晴らしい作品に出来たのだ。
でも、残念ながらそうはならなかった、ただ一点「音楽」のミスマッチのせいで。
この作品にはオーケストラによる壮大な音楽が似つかわしいのに、
電子楽器による陳腐な音楽が付けられ、作品そのものが台無しになってしまった。

この「百日紅」も残念ながら音楽のせいで台無しになった一本。
監督の意図は空回りし、見えているものと聞こえて来るものとのミスマッチにより、
わたしたち観客は作品の世界に没頭することが出来なくなってしまった。

本当に残念。