まだまだいなかのねずみ

日本の片隅で妻・母・非正規雇用者している栗ようかんの思索と日常

生活排水殺人事件~被害男性に「認知症」の可能性があったのでは?~

たまたまチャンネルを替えたら
千葉で起こった「生活排水殺人事件」を扱っていた。

事件の概要を見ているうちに、
殺された方が「認知症」だったのでは?という疑念が出てきた。

そう感じた大きな理由は、被害者が10年ほど前に仕事を辞めてから、
近隣とのトラブルが増えた、ということ。
それも、小学校の運動場のスピーカーの音がうるさいとか、
生活排水を流されたとか(実際は生活排水ではなく、
低地にある被害者宅に雨水等が流れて来るだけ)、
10年ほど前から急に起こったことではなく、
以前からあった事象に被害者が急にクレームを寄せるようになったようだ。

これは、もしかすると、
「仕事を辞めたあとおかしくなった」のではなく、
「(認知症で)仕事を継続するのが難しくなったから辞めた」事例ではなかったか?
と思う。
クレームがふえてから10年、という時間の経過も、
一般的に言われている認知症の初期症状が表れてから症状が進むまでの時間と
矛盾はない。

誰しも高齢になると、頑固になったり怒りっぽくなったりする傾向はあると思うが、
認知症」になると、それが度を越したものになりがち。
(わたしの義父も、50年来のDVが手を付けられないくらい激化し、
義母をして「何で怒り出すのか、きっかけが全く分からなくなった」と言わしめるほどになった)
しかも、そう言った性格の変化は、認知症のごく初期に起こってくるもので、
同居している家族が気付く程度のもの。
特に認知症初期には本人に病識(自分の病気を自覚していること)があることが多く、
体面を取り繕おうと本人が必死で努力するため、
外部の人(同居していない家族も含む)には変化が分かりづらいのだ。

今回加害者になった男性(こちらも高齢者)は、
警察に複数回相談もしていたものの、
「緊急性が認められない」ということで介入を得られず、
連日の被害者からの度を越した電話や、
家に直接来ての行為(ドアをドンドン叩くなど)により、
加害男性の妻もノイローゼ状態になるほど追い込まれてしまっていたらしい。
そして、事件当日被害男性から呼び出されて・・・と言うことのようだ。

高齢化が進む日本では、今後このような形でのトラブルが激増して行くだろう。
今回の事件で言えば、加害者から警察に相談があった時に、
当事者双方が高齢者だったのだから、
地域包括支援センターに家庭訪問を依頼すべきだったのではないかと思う。
(「地域の高齢者のご家庭を巡回訪問しています」と言って様子を見てもらう)
複数回相談があったと言うことだから、
家庭訪問を継続して経過観察してもらい、
(義父と同じように)被害者に対して医療保護入院の措置を取ることも出来たかも知れない。

高齢者の問題に警察単独で対応するのには限界があると思う。
関係機関と連絡を密にしつつ、
警察には、「緊急性があるかどうかだけ」ではなく、
高齢者特有の様々な事象も視野に入れた柔軟な対応を求めたいところだ。

*高齢者が関わるトラブルを現に抱えている場合のこと
警察に連絡するのと同時に、自分で「地域包括支援センター」に連絡した方がいいと思います。
市町村区の全てに、「地域包括支援センター」が整備されており、
主に高齢者に対するサービス等を担当しています。
センターには社会福祉士等の有資格者がおり、
専門的な知識と経験を積んだ職員さんたちが、
地域に住む高齢者の生活全般を支える仕事をなさっています。
複数のセンターがあるなど、どこに相談したらいいか分からない場合、
とりあえず市町村区の高齢者担当の部署に連絡すれば、
どこに相談したらいいか教えてもらえます。