まだまだいなかのねずみ

日本の片隅で妻・母・非正規雇用者している栗ようかんの思索と日常

「主演 パセリ」に感動~Eテレ「シャキーン!」~

昨日の朝10時から、Eテレで放送された「シャキーン!10」。
その中の「パセリ」という短いドラマ(?)にものすごく感動した。
 
(「シャキーン!」について知らない方のためにちょっと説明すると、
これはNHK Eテレで毎朝7:00から放送されている、
小学生向けのエンターテイメント番組。
・・・と言っても、「おはスタ」みたいなものとも全く違う。
本当に斬新で、いろんなものを「おおっ!」という新しい切り口で見せるコーナーや、、
子どもたちの持つ潜在能力を面白い方法で開花させるゲームなど、
今までになかったタイプの子ども向け番組だと思う。)
 
「パセリ」に話を戻すと、これはお母さんがお弁当を作っているシーンから始まる。
大好物の唐揚げを入れて作ったお弁当を女の子に渡す。
・・・と、次にはもう空のお弁当箱を洗う場面になる。
蓋を開けると空っぽ・・・じゃなかった、すみっこにパセリがぽつんと残っている。
パセリを取り上げたお母さん、三角コーナーにポイッ!かと思ったら、
つまんでむしゃむしゃ食べながらお弁当箱を洗い出す。
と、ここでエンド。
(ここまでほんの数十秒間)
エンドクレジットが流れ始める。
主演は・・・なんとパセリだ!
次に「栽培」と出て、ご夫婦らしいお二方の名前が出る。
パセリ畑で働くお二人の映像が流れる。
続いて「集荷」、これまた別のお名前が。
そして、収穫されてトラックに積まれたパセリと、それを運転する男性の映像が流れる。
さらに「仕分け」「箱詰め」「輸送」「販売」(言葉はちょっと違ったかも)などについても、
同じようにそれぞれに複数の方々の名前が出、
それに続いてその方がパセリに関する仕事をなさっている様子が流れる。
そうか!
これは、パセリ一つにどれだけ沢山の人たちが関わっているのか、ということを、
子どもたちにとても分かりやすく伝えるためのコーナーだったんだ!
コンビニ弁当でも、レストランのサラダにでも、毎日のお弁当にでも、
当たり前のように入っているけど、当たり前のように捨てられてしまうパセリ、
そのパセリがそこに存在出来るようになるまでに、
どんな人がどんな場所でどんな風に関わっているのか、
それを面白く見せるものだったのだ!
最後にパセリを作っているご夫婦が笑顔で大写しになる。
奥さんが「パセリには栄養がうんとあるから、残さずに食べてね」的なことを言いながら、
笑顔でパセリをパクっと食べる映像でコーナーは終了。
 
見終わって、何だかとても感動した。
昔だって、社会科のテレビでこういうのはあった。
でも、それは「パセリが食卓に届くまで」みたいな題名で、
しかつめらしい口調のアナウンサーが教科書に書いてある文章そのまま、
みたいなことを読み、映像だって全然興味を引かれないようなものだったっけ。
それが、これはどうだ。
一人ひとりの方々の顔がはっきりと見え、
アナウンサーの語りがなくても、映像がすべてを雄弁に物語っていて、
子どもたちだけでなく見る者すべての心に、
日陰者パセリを陰で支える沢山の人々の温もりまで感じさせることに成功しているではないか!
 
すごいなあ、NHK。
すごい、と言うか、こういうことこそが、テレビに本来期待されている役割なのだと思った。
スポンサーの顔色をうかがうことだけに汲々としている民放には、
とてもまねできないことなんだろうけどね。