まだまだいなかのねずみ

日本の片隅で妻・母・非正規雇用者している栗ようかんの思索と日常

今日の「ちりとてちん」~第5話~

「今日の『ちりとてちん』」をなんとなーく始めてみたものの、
今さらながら、「大変なこと始めちゃったなあ」と思ってます。
昨日も書きましたが、「ちりとてちん」は
ものすごく中身がみっちり詰まっているドラマなのです。
なぜ、こんなにも「みっちり感」があるのか考えてみたら、
これは、普通のドラマみたいな「ビーフステーキ」ドラマではなく、
ミルフィーユ」ドラマだからなのですね。
普通のドラマは主人公が一人ドン!と存在していて(この人がステーキ)、
周りの人たちはあくまでわき役(クレソンやにんじんグラッセ)ですね。
わき役はわき役、その人たちの描かれ方はごくあっさりとしていて、
決してステーキを脅かすことはありません。
一方「ちりとてちん」は、主人公の物語と並行して、
正典さん、小次郎さん、小梅さん、正平くん、糸子さん、順ちゃん、バカぼん、A子、
やがて大阪で知り合う師匠その他、沢山の沢山の人たちの物語も描かれます。
その比重が、他のドラマと比べて非常に大きいのです。
仮に主人公を外したとしても、「ちりとてちん」の世界が成立してしまうほどに。
だからこそ、こんなにも「みっちり感」が強い、稀有なドラマなのですね。
さてさて、今日のお話は特にすごい「みっちり感」でしたので、
昨日に続いてどうしても今日のイチオシ!を二つにしないとどうしようもないです・・・。
 
 
今日のイチオシ!~その1~
「喜代美ぃ、お前はこれから仰山笑えぇ。
一回きりの人生や、仰山笑うた方がええ。」
 
心臓の病気で死の床にあった正太郎。
喜代美の機転と、小梅の正太郎への愛から枕元で流された「愛宕山」の音で、
奇跡的に意識を取り戻します。
そして、焦点が定まらない目で何とか喜代美を認めて発したセリフです。
その後、正太郎は喜代美のお蔭で「笑い」を取り戻せたと言い、
正典が帰ってきた時にもすぐ笑えば良かった、と話します。
良く帰って来てくれた、ずっと正典が跡を継いでくれたらと思っていた、と。
正太郎の真心から出た言葉に、正典は涙を流します。
「いや・・・いや・・・いや・・・」と取りすがる小梅、
「おじいちゃん!」と泣く喜代美たち家族に看取られて、
正太郎は息を引き取るのです。
 
・・・もう、号泣するしかないでしょう。
正太郎は幸せ者です。
これ以上いい亡くなり方があるでしょうか。
何度見ても感動で胸がいっぱいになってしまう、名場面だと思います。
そして、小梅さんの哀れさ、可愛らしさ!!!
元芸者さんだった、粋で凛としてていつもしゃんとしている小梅さんが、
「正太郎ちゃん」と呼んでいた夫の最期に、
「いや・・・いや・・・」と泣き崩れるのです。
たったそれだけで、正太郎と小梅の何十年かが伺える気がしました。
江波杏子さん、素敵過ぎ。
 
今日のイチオシ~その2~
「・・・がんばって。」
 
これは、糸子のセリフです。
跡を継ぐ者もないまま正太郎が亡くなってしまい、
もう和田の塗り箸は終わりだ、という空気が流れます。
「継ぎたいと思っている」と言う正典を、箸問屋の竹谷は
「箸づくりはそんな甘いものではない!」と一蹴します。
通夜も終わって帰宅したあと、正典と小次郎は「どちらが悪いか」を巡って喧嘩になります。
そんな二人の様子を見ていた糸子は、
あきらめてはいけない、今からでも遅くない、立派な箸職人になれる、
と正典を励まします。
疑わしそうな顔で「どうやって?」と問いかけた正典への糸子の答えが、
今日のイチオシのセリフです。
あまりに抽象的すぎる答えに、正典はあきれ顔ですが、
糸子は内に秘めた強い思いを感じさせながら、大真面目で答えたのです。
 
この糸子さんのセリフ、大好きです!
あんまり大好きなので、実生活に大いに取り入れさせてもらっています。
「どうすればいいっていうの?」などと、子供たちに問い詰められて答えに窮した時には、
糸子さんのように「どうしたらいいかは分からないけど、
どうなればいいかは分かってるのよ!」という強い思いを込めながら、
「がんばって。」と答えることにしています。
もちろん、子供たちからは大ブーイングが起こりますが・・・。
 
今日の放送分でここまで来た、ということは、
明日の放送分は「あの場面」ですな。
・・・まずい、「あの場面」を想像しただけで泣きそうになってしまった。
ハンカチ、ちり紙の用意を忘れずに見ないと!