まだまだいなかのねずみ

日本の片隅で妻・母・非正規雇用者している栗ようかんの思索と日常

素晴らしい絵本と出会いました!

ご無沙汰しておりました。
久しぶりの更新です。

昨日、仕事の待ち時間に図書館へ寄りました。
絵本コーナーの「おすすめ」として展示されていた1冊、
ほんのちょっと見るつもりで手に取ったのですが…。
あまりの素晴らしさに読むのを止められなくなり、
夢中で最後まで読んでしまいました。

その1冊とは、「水仙月の四日」(文・宮沢賢治、絵・黒井健、ミキハウス刊)。
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宮沢賢治の童話は、何と言っても「銀河鉄道の夜」が大好きで、
何度も何度も読んでいますが、このお話は未読でした。

水仙月」と言うのは賢治の創作なのだそうです。
「春まだ浅く…」とか「日脚が伸びたことを実感する季節…」とか
表現される、冬の終わりと春の初めが重なる時期。
雪のない地方では、梅が咲き日に日に暖かさが増して行くことによって
「春」を感じて行くのでしょうが(郷里の仙台がそうでした)、
寒さ厳しい雪国では、そんな季節、時に恐ろしい吹雪になることがあります
(以前住んでいた酒田市や、今住んでいる某所がまさしくそんな場所です)。
雪国では、そんな季節に今でも亡くなる方がいらっしゃいます。
まして、交通手段もなく防寒手段も発達していなかった昔は、
どれだけの悲劇が起こっていたのか…。

そんな、冬と春とが文字通りせめぎ合う厳しい雪国の風景を
独特の文体で格調高く紡ぎ出した賢治作の物語に、
黒井さんの透明感あふれる絵が見事に調和している1冊です。
厳しく、恐ろしく、そして哀しいほどの優しさが溢れる世界にすっかり呑み込まれ、
読み終えた時、いつの間にかすーっと涙がこぼれていたことに気付きました。

1999年刊のちょっと古い本で、
「地球最大の品揃え」の某通販サイトでは写真すら出ませんでしたが、
どうにか2冊手に入れることが出来ました。
1冊は自分に、もう1冊は芸術大学でビジュアルデザインを学んでいる娘の許に。

まだ「絵本ナビ」で若干の在庫があるようです。
興味を持たれた方はお早めに。

※絵本に分類される1冊ではありますが、お話が難しいのと、
 内容的に恐ろしい部分がありますので、小さいお子さんには向かないと思います。
 お子さんよりはむしろ大人の方におすすめしたい絵本です。