まだまだいなかのねずみ

日本の片隅で妻・母・非正規雇用者している栗ようかんの思索と日常

ヒラエス、モーンガータそしてウブントゥ

聞いたことのない言葉ばかりタイトルに並んでいて、
「???」と思われたことでしょうね。

これは、最近買ったとても素敵な本に載っていた、
外国の言葉なのです。

本のタイトルは「翻訳できない世界のことば」
(エラ・フランシス・サンダース著、前田まゆみ訳 創元社刊)。
タイトル通り、その言語以外の言語では翻訳するのが難しい言葉が、
その意味を表す美しい挿絵とともに紹介されている面白い本です。

この記事のタイトルに挙げた三つの言葉は、
その中でわたしのハートにビビっと来たもの。

まず「ヒラエス HIRAETH」はウェールズ語の単語で、
「帰ることができない場所への郷愁と哀切の気持ち。
過去に失った場所や、永遠に存在しない場所に対しても」(解説文から)という意味だそうです。
それが、たったひと言「ヒラエス」で表され、
それを聞いた人も相手の切ない気持ちが共有できるなんて・・・。

次の「モーンガータ MANGATA」はスウェーデン語の単語で、
「水面にうつった道のように見える月明かり」を表すのだそう。
さすが、冬になると太陽が昇らなくなる国の言葉ですね。
長い長い冬の夜、凍てつくような寒さの中、
煌々と照る冴えた月からまっすぐに伸びた光の道。
想像しただけで、何だか圧倒されてしまいそうな光景ですね。

最後の「ウブントゥ UBUNTU」はズールー語の単語。
「あなたの中に私は私の価値を見出し、私の中にあなたはあなたの価値を見出す、
つまり『人のやさしさ』を表す」言葉なのだそう。
ズールー語南アフリカジンバブエモザンビークなどの国で話される言葉だそうですが、
豊かな自然からの恵みをたっぷりと受けることが出来た土地の人たちらしい、
のびやかで優しい気持ちが感じられる言葉ですね。

この本には全部で52もの翻訳できない言葉が載っています。
中には日本語の単語もいくつかあるんですよ。
「木漏れ日」「ぼけっと(する)」「侘び寂び」「積ん読」の四つ。
日本語以外の言語だと該当する言葉がないらしいです。
「これぞ日本!」みたいな感じの「侘び寂び」は分かりますが、
「ぼけっと(する)」に該当する言葉がないなんて、ちょっと意外。
ちなみに「BOKETTO」の解説文は
「なにも特別なことを考えず、ぼんやりと遠くを見ているときの気持ち」。
・・・うーん、微妙に違うかな?

他にも、ドイツ語で「龍のエサ」を意味する言葉なんかもあります。
(お詫びの印として夫が妻に贈る品のことだそうです!)
異文化を知る新しい切り口が得られそうな感じですね。

因みにこの本はニューヨークタイムズやアマゾンUSAのベストセラーになったそうです。
興味を持たれた方は是非お読みくださいね!