まだまだいなかのねずみ

日本の片隅で妻・母・非正規雇用者している栗ようかんの思索と日常

義母というひと

「わたし、もうおばあちゃんちの手伝いへは行きませんから。
就活で忙しいしもう冬休み以降来られませんって言って来たから、
もしおばあちゃんが手伝いに来て欲しいって言ったら断ってくださいね」
いつも穏やかな息子が珍しく怒った様子でそう言った。
旧盆の二日間、お茶出しや湯のみ洗いの手伝いを頼まれて、
朝から夜まで夫の実家で働いて来た日のこと。
訳を聞くと、義父の認知症に関することで、
結構デタラメを来る人来る人に話していたらしい。
曰く「自分はじいちゃんが認知症だと何年も前から疑っていたのに、
息子夫婦、特にヨメが『認知症ではなくてうつ病だ』と言い張って受診が遅れ、
そのせいで入院させなくてはならなくなった」とか、
「精神科の医者は患者のことなんかケダモノだとしか思ってない。
ボンヤリしたと言っては興奮する薬を飲ませ、
興奮したと言ってはおとなしくするために別の薬を飲ませる。
人間として扱ってない」とか、
「医者はじいちゃんのことを認知症だと言っているが、
じいちゃんは実はてんかんだと自分は思っている。
でも、ヨメがそうじゃない、認知症なんだと息子に吹き込んでいて、
息子は自分の言い分に耳を貸さない。
じいちゃんはてんかんなんだからその薬を飲めば治るのに、
そのせいで未だに病院に入ったまま家に帰れないでいる」などなど。

どの口がそういうことを言うのか。
義父のことを「刺激したくないから」と言って、
受診も介護保険の認定についても全てケチをつけ、
遅らせよう、止めさせようと動いたのは誰だったのか。
それでいて義父からのDVがひどいからと毎晩のように電話して来て、
仕事で全く休みのない夫のことを深夜でも実家へ呼びつけ、
「もう限界だ」「殺されてしまう」と言っていたのは誰だったのか。

「お義母さんや長男さんと面会させるのはまだちょっと無理だと思います。
でも、ご家族のどなたも来ないとなると刺激がなくてそれも良くないので、
おヨメさん、時々面会に来てあげてくださいね。」
施設の人にそう頼まれて、2週間に一度お菓子の差し入れを持って面会に行ってるのに。
行くたびにわたしのことを「弟のヨメさん」だとか「工務店の取引先の奥さん」だとか
「全く見ず知らずの他人」だとか言う義父に話をうまく合わせて、
とにかく不安にさせないように、安心した気持ちで過ごせるようにと、
一生懸命心を砕いていると言うのに。

はあ~、おもしろくないなあ。
でも、まあ、元々義父に受けたDVがどんなにひどいかを、
来る人来る人に面白おかしく(誇張しながら)話すのが最大の趣味、
みたいな人だったんだからね。
話のタネになる義父が居なくなっちゃったから、
ヨメに矛先が向いたんだろう。
可愛い息子(わたしの夫のこと)を悪く言うはずはないからね。
わたしだって頭では理解してるんだよ、
これが伝統的なニッポンのヨメの役割の一つなんだ、
これで姑はガス抜きが出来るんだってね。
でも、やっぱりおもしろくないッ!!!