まだまだいなかのねずみ

日本の片隅で妻・母・非正規雇用者している栗ようかんの思索と日常

息子は東京へ戻って行きました。

10日間帰省していた息子が、高速バスで東京へ戻って行きました。

いつも仕事で忙しい夫もこの間だけは大急ぎで帰宅、
20歳になった息子と何度か一緒にお酒を飲みました。
「お兄ちゃん大好き」な高校生の娘は、
子供部屋で内緒の話に花を咲かせていた様子。
わたしは哲学科で学ぶ息子と様々な話をしました。
その合間に息子は、
夫の母に頼まれて旧盆の手伝いを二日間こなし、
わたしと一緒に仙台の寺へ墓参りしに行き、
妹の数学の宿題を手伝ってやり、
さらには妹に頼まれてミシンで甚平を縫ってやり・・・と八面六臂の活躍ぶりでした。
高校生は宿題の追い込みで忙しく、
皆で出かけられたのは花火大会の一日だけ、
しかも夫が仕事の関係で行けなかったため全員で、というわけには行きませんでした。

「せっかく帰って来たのに、あまり休みにならなかったんじゃない?」
高速バス乗り場まで息子を送る車内でそう尋ねたら、
息子は「ううん、いい休みだったよ」と言いました。
「2年半一人暮らししているけれど、一人ぼっちには慣れられないままなんだ。
いつもは心を麻痺させて寂しいと感じないようにしてるだけ。
一緒に話したり笑ったりできる人がいる、それだけで十分なんだよ。
わたしが一体何しに帰って来てるかって言えば、
話をしに帰って来てるんだからね」。

新宿経由東京ディズニーランド行き、と書かれたバスには、
遊びに行くらしい親子連れや息子と同年代の子たちが沢山乗り込もうとしていました。
皆、華やいだ様子で乗り込んで行く中、
息子はちょっとうつむいたままステップを上がり、
振り返って小さく手を振りました。
バスが無事発車したのを見届けて車に戻ったわたしは、
何だかとても寂しくなってわあわあと泣いてしまったのでした。