まだまだいなかのねずみ

日本の片隅で妻・母・非正規雇用者している栗ようかんの思索と日常

わたしのADHDその3~わたしが考えるADHD~

最初にADHDで困っている方にお勧めの本を挙げます。
 
   櫻井 公子著 大和出版刊
    「どうして私、片づけられないの?
    ~毎日が気持ちいい!
    ADHDハッピーマニュアル
 
この本には、大人のADHDが日ごろ困っていることや、
それへの対処法についてがとても分かりやすく、且つ親しみやすく、
愛情をもって(←これが一番大切!)書かれています。
ADHDをお持ちのご本人だけでなく、
初めて聞く「ADHD」という名前の、病気なんだか障害なんだか
よくわからないものに困惑しておられる家族の方にもお勧め出来る1冊です。
 
この本の中で櫻井先生はADHDの特性を「狩猟民」と表現なさっています。
「これだ!」という「獲物」を見つけると、ほかのことは忘れてそれを追い求め、
手に入れることだけで頭がいっぱいになってしまう「狩猟民」だと。
・・・言い得て妙、と思う部分もあります。
 
わたしが考えているADHDは「直列つなぎの人々」であり、「オフライン作業中の人々」です。
一般の方々が「並列つなぎ」で、安定した電圧で長時間光り続けることができるのに対して、
ADHDの人は回路に強い電流が流れてパッと光るけれど、すぐにバッテリーが尽きてしまいます。
また、回路の途中に少しでも障害物があると、すぐに電気が流れなくなってしまいます。
その一方、頭の中の回路が常にいくつもオフライン作業中の状態になっています。
無意識(オフライン)ではあるけれど、常に気になっている問題について、
同時進行でいくつもの回路を使って考え続けている部分があるというか。
分かりやすくするためPCに例えれば、
いくつものウインドウが開きっぱなしになっている感じでしょうか。
(それで脳の動作が重くなってしまい、意識下でいくつもの物事を同時進行させられなくなる)
しかし、「単純な直列つなぎ回路」と「常にオフライン作業中」ということが、
いい方向に働く場面があります。
予想もしなかったような出来事に遭遇したとき、
瞬時に思考回路を別のものに切り替えることが出来るため、
思考停止に陥ることなく素早く対処出来るような気がします。
特に、事態が刻々と変化していくような場面でもフリーズしてしまうことなく、
変化に素早く対応しながら柔軟に思考を展開して行ける特性があるように感じています。
(育児と介護を経験する中で実感したことです)
ちょっと格好いい言い方をすると、
「平時に弱いが危機には強い人々」がADHDではないか?と。
ADHDには五感が鋭い人が多いとも言われています。)
 
ここから先は、完全にわたしの独り言。
何の根拠もない話なので、ADHDと言われて凹んでる方、
なんでもいいから自信を持ちたい!という方だけお読みください。
 
遠い遠い昔、人間がまだ今のように武器や火を持たず、
弱い生き物だった頃のことを考えてみます。
(人間の基本スペックって、生き物としては結構ダメダメなんですよね。
走るのは遅いし、力だって弱いし、強力なあごや鋭い牙もないし、爪だって鋭くないし。)
多分小さな集団を作って暮らしていた人間の中に、
五感が鋭く、危機に強く、好奇心が旺盛(落ち着きがない、とも言う)である個体が混ざっていることによって、
いち早く外敵の接近に気付くことが出来たり、移動先での新しい環境に適応出来たりして、
小集団全体が生き延びられる確率が上がっていたのではないだろうかと。
・・・その頃なら、ADHDは感謝されまくりだったのかもしれないですね。
 
現代社会に於いては、なかなかそういう立ち位置は獲得し辛いのが悲しいところ。
ADHDの人々が安定した現代社会で社会秩序から外れず、且つ幸せに暮らしていくためには、
周囲の人々の理解とサポートが不可欠です。
しかし、逆もまた真なり。
周囲の人々の理解とサポートさえあれば、ADHDの人々はその特性を残したまま、
幸せに暮らしていくことが出来るのです。
決して悲観的になるようなものではありません、ADHDだからと言って。
 
ADHDという言葉で検索して、このブログを見つけてくださった方、
特にADHDのお子さんを持つ親御さんにお願いします。
ADHDとは、ちょっと育て方にコツが必要な珍しい植物のタネみたいなものです。
普通の子たちと同じように日に当てたり水をやったり肥料を与えたりしてもうまく育ちませんが、
コツさえ分かればきちんと育つし、珍しい花が咲き面白い実がなる可能性を秘めています。
その植物を育てるコツを記した「マニュアル」は残念ながらありません。
一人ひとりの特性や癖を見極めながら、コツをつかみ、上手く育つように働きかけるのが
親御さんの大切な仕事です。
その際たった一つ必要なものは、お子さんに対する愛情です。
愛情をもって接して行けば、きっとお子さんを上手く成長させていくためのコツが見えてきます。
何より、お子さんたち自身が持っている育つ力が、親御さんの愛情によって目覚めることでしょう。
ですから、「育てにくい」「言うことを聞かない」と諦めたり突き放したりしないでください。
恐怖や力でコントロールしようとしないでください。
あるやり方が上手く行かなかったら、別の方法を試してください。
ADHDのお子さんは楽しいことや新しいやり方が大好きですから、
一見ゲームのようなやり方をすると、大抵のことは上手く行くようになると思います。
そして、上手く出来た時には、それを認めてうんと褒めてあげてください。
それが、お子さんたちを成長させる大きな原動力になり、推進力ともなります。
親御さんたちが、ADHDのお子さんとの慌ただしく予想外の出来事に満ちた毎日を、
「面白い」「愉快」と感じられるようになったら本当に素敵ですね。
どうか、お子さんと一緒にワクワクドキドキの毎日を楽しんでください。
かつて力と恐怖によって親にコントロールされた経験を持つわたしからの、
それが心からのお願いです。