まだまだいなかのねずみ

日本の片隅で妻・母・非正規雇用者している栗ようかんの思索と日常

心が疲れちゃってる大人に~いとうひろし作「だいじょうぶだいじょうぶ」~

この本がとても有名になっているみたいで驚いた。
いい本は、クチコミがどんどん広まるんだろうね。
 
この本は、子どものための小さな絵本の体裁を取っているけれど、
正直言って、人生経験の浅い子どもには全くピンと来ない内容だ。
絶対的に大人が読んだ方が、心にグッとくるものがある本だと思う。
 
娘も生まれ、二人の子供の世話でクタクタだったある日。
近所の本屋(唯一の気晴らしの場所だった)で、この本を見つけて手に取った。
ページをめくり・・・と、鼻の奥がツーンとしてきた。
そして、最後のページをめくった時、堤防が決壊したみたいに涙が流れた。
その頃のわたしには、「大丈夫、大丈夫」と声を掛けてくれる人もなかったけれど、
この本を取り出して読むたびに、誰かに優しく頭をなでなでしてもらうような、
そんな温かくて穏やかな気持ちになることが出来た。
 
あの頃から10年以上月日が流れ・・・。
とうさんの病状が思わしくなかったとき、先行きの不安におしつぶされそうになったとき、
家に帰って来てからこの本を取り出して読んだ。
この、本当に薄くてほのぼのとした本に、どれだけ救われたことか。
わたしは、おかげで、とうさんに最後の最後まで「大丈夫、大丈夫」と言い続けることが出来た。
とうさんを心穏やかに旅立たせてやることが出来た。
 
不安で仕方がないひと。
心がすっかりくたびれちゃってるひと。
この本は、そんなあなたのための本です。