ぬか喜び
わたしは今日、生まれて初めての体験をした。
なんと、「美人だね」と言われたのである!!!
常々「おかあさんは生まれてこの方、
手先が器用と、字が汚いと、美人だとは言われたためしがない」と
子供たちに笑い話めかして言っていたこのわたしが!!!
施設にデイケアサービスで来ていた方たちの食堂で、
傾聴をして帰りぎわのことだった。
一緒に活動しているOさんに向かって利用者さんが
「あんた、大した美人だね。」と言った。
秋田美人のOさんは笑いながら「あら、ありがとう。」と答えた。
するとその利用者さんはそばにいたわたしを手招きして、
「あんたさんも、たいした美人だよ。」と言ったのである!!!
・・・本当に?
美人で、シュッとしてて、華やかな雰囲気のねえさんを持ったがゆえに、
いつもいつも貶され放題だったこのわたしが?
「わあ、うれしい、わたし、そんなこと言われたの生まれてはじめて。」
大ニコニコで握手した次の瞬間、
わたしはそれがぬか喜びだったことを知った。
「・・・あんたさんは、まだ結婚はしとられんのでしょう?」
びっくりするような利用者さんの言葉。
「いえ、わたし、高校3年の子供がいるんですよ。」
そうわたしが答えると、利用者さんは驚いた様子で
「あらあ、わたし、あんたさんのこと、はたちくらいかと思ってたわあ!」
そう、利用者さんは相当目がお悪い方だったのだ。
わたしのシワも白髪もシミも全く見えず、
ただ甲高く子供っぽい声だけで判断なさったのだろう。
・・・残念。
「美人」ってせっかく言われたのに。
まあ、好意は持ってもらえてるってことで、上出来と思うことにしようか。