まだまだいなかのねずみ

日本の片隅で妻・母・非正規雇用者している栗ようかんの思索と日常

文明が進み過ぎると、やがて文明を否定する方向へ進み始めるのだろうか?

最近知ったこと。
高温で調理すると、様々な食品に含まれる物質が変質して
「アクリルアミド」という発がん性物質に変わってしまうので、
炒め物や揚げ物は良くないそうな。
ちょっと前、「冷蔵保存したジャガイモをフライドポテトにすると
発がん性がものすごく高まるので冷蔵庫に入れちゃダメ!」的な
記事をよく見かけたけれど、実はジャガイモだけではなく、
ほとんどすべての高温調理された食品(焙煎するため、コーヒーやほうじ茶、
麦茶なども含まれる)は「アクリルアミド」を含み、
身体に良くないのだと言う。

ご飯やパンなどの穀物が身体に良くないというのも、
精製された食品(白米、上白糖、食塩、小麦粉など)が良くないというのも、
もはやほとんど常識化してしまった。

他にも、「〇〇を食べると認知症リスクが××倍!」
「△△を食べると大腸がんのリスクが□□倍!」の類を見聞きしない日はない。

「健康でいたいなら、食べ物を口にしないことが一番なの?!」
と言いたくなってしまう。
正直言って、何をどう食べても身体に悪い、ということになってしまいそう。
「完全栄養食」の粉末だけを摂り、所謂「食品」は1年以上摂取していないという
東大卒の男性の記事をネットで読んだけれど、
それが医学的には正解なのだろうか。

…などとつらつら考えてみると、
「文明」に人間の「進化」が追い付いていないせいで
全ての問題が生じているのではないか?という気持ちになって来る。

だってそうでしょう?
「文明」なんて、人類の歴史から見たらほんのついこの前から
始まったばかりのものなんだから。
さらに言えば、現代みたいに、お店屋さんへ行けば肉でも魚でも
旬じゃない野菜でも、お金さえ出せば好きなだけ買えて、
しかもガスやらオーブンやらを使って自然界では考えられないような
超高温で調理できる状態になったのなんか、
ごくごく最近のことなのだ。
一方、人類の身体はと言えば、まだまだ狩猟採取時代仕様。
だから、狩猟採集時代と同じ食べ方が一番身体に合っているはずなのだ。

一日中歩き回って葉っぱをちぎってモグモグ、
食べられる木の実を拾ってモグモグ。
獣や魚が運よく手に入れば、それもほとんど生、みたいな状態でムシャムシャ。
お楽しみと言えば、毎年決まった時期に実を付ける
美味しい甘い果実を食べること。
とは言え、当然他の動物も果実を狙っているから、
自分たちばかりで食べることは出来ず、
しかも果実が実って食べられる期間はそうそう長くないため、
何個か食べたら、「また来年をお楽しみに」状態。
塩も砂糖も穀物もなく、糖分も塩分もビタミンも食品から摂るだけ。

「嫌だよ、そんな生活」と思うけれど、そういう生活をすれば、
座りっぱなしでロコモになる心配もなく、
塩分の摂りすぎや食物アレルギーや糖尿病などと
無縁で生きられるはずなのだ。
…何故なら、何十万年にもわたってそういう生活をしていたため、
人類の身体がそれに合う形になっているから。

人類の進化が「文明」に追いついていないらしい、というのは
脳を調べればわかることらしい。
最近、わたしが読んだ
「ヒトの脳にはクセがある~動物行動学的人間論~」
(小林朋道著 新潮選書)
という本にそんなことが書いてあった。
現代社会においては、車に轢かれたり、刃物で刺されたり、
外国ならば銃で撃たれたりして命を落とすことが多いのに、
ヒトが生まれ持っての恐怖を覚える対象は、クモやヘビ、高所や閉所などであることから、
それがはっきりと分かるそうだ(…確かに!)。

どうも人間は、自分たちが追い付けないところまで
文明を先走らせてしまったらしい。
そうなると、この先、「文明」は「これまでの文明」を否定する方向で
進んで行くのかも知れない。
…人類の文明自体が、やがて「行きて帰りし物語」になったりして。