まだまだいなかのねずみ

日本の片隅で妻・母・非正規雇用者している栗ようかんの思索と日常

トム・ハンクス出演作の中で一番好きかも~「ウォルト・ディズニーの約束」を見た~

長年使っていた液晶テレビがダメになってしまい、
しばらく前にSONYのBRAVIAに買い替えました。
これがインターネットにつなげられるテレビで、
大画面でAmazonプライムビデオやらYoutubeやら見られる優れもの!
…つい数か月前まで、画面の端が黒くなってしまっている21型の古い液晶テレビ
レンタルDVDを見るしかなかったのに、もう隔世の感であります。
奮発してBOSEのスピーカー(の一番お手頃なもの)も買い、
社宅の居間は「プチホームシアター」状態。

今日は仕事が休みだったので、
前々から見たいと思っていた「ウォルトディズニーの約束」を見ました。
前作の続編と言うことで、「メリー・ポピンズ」の新作(なんと前作から54年後!)が
公開間近みたいですが、この作品はその54年前の作品を制作する際の、
ウォルト・ディズニーとP.L.トラヴァース(「メアリーポピンズ」シリーズの原作者)との
逸話を基に作られた映画です。

岩波少年文庫の「メアリー・ポピンズ」シリーズは、
わたしの愛読書の一つでした。
…と言うより、小学校の頃、メアリー・ポピンズに読ませる体で
日記を書いていたほど、大切な作品だったのです
(今もすっかり変色した岩波少年文庫が本棚にあり、
時々取り出して好きな箇所だけ読んでいます)。
そんなわたしは、ディズニーの映画「メリー・ポピンズ」について
「こんなの、メアリー・ポピンズじゃない!」とずっと思っていました。
ニコニコしてて優しくて、歌って踊って愛想がいいなんて、
そんなのメアリー・ポピンズな訳がない!と思っていたから。
そして、数々の素晴らしい楽曲は好きでも、
映画自体はあまり好きになれなかったのです。

そんな訳で、この作品の初めの方でP.L.トラヴァースが
メリー・ポピンズ」の脚本その他に一々付ける難癖について、
「そうだよねえ」「そうそう!」と頷ける部分が多かったです。
しかし、彼女のあまりの頑固者ぶり(と子供嫌いぶり)に
「えー、こんな人だったの?!」と段々嫌な気持ちに…。
元々エマ・トンプソントム・ハンクスもあまり好きではないこともあり、
「これはハズレだったかな?」と心配になったのですが…。

いやあ、この映画、心に沁みるいい作品でした。
特に原作者の父親役のコリン・ファレルが素晴らしかった。
そして、辛い経験にも目を背けることなく向き合い続けた
(向き合わざるを得なかった)、幼少期の原作者役の少女の真っすぐな目が
非常に印象に残りました。

「トラヴァース」という名前は、原作者の父親のファーストネームだったんですねえ。
幼少期の原作者にファンタジーの素晴らしさを教えてくれたひと、
そして「夢見るもの」が現実の世界でどのように敗北していくかを、
幼かった原作者に強烈に印象付けながら死んでいったひと。
この作品を見て、「だからバンクスさんは銀行で働く人だったんだ!」と
思いました。
(第一「バンクス」という苗字自体、銀行の複数形みたいですよね)。

ネタバレになると困るのでこれ以上内容には触れませんが、
「夢見るもの」に共感できるひと、「メアリー・ポピンズ」が好きなひと、
ディズニーが好きなひとにはオススメしたい作品だと思います。
逆に「現実主義者」や「メアリー・ポピンズって何?」というひとには、
ちょっとオススメできないかなあ。
あ、それから、クリエイター(とクリエイターを目指しているひと)には
絶対に見て欲しいと思います。
映画の終盤、ウォルト・ディズニーの口からクリエイターすべてが
忘れてはならない、大切なことが語られますので。

メリー・ポピンズ」、この作品を見終わったら
「もう一度観直してみようかな?」と言う気持ちになってしまいました。