まだまだいなかのねずみ

日本の片隅で妻・母・非正規雇用者している栗ようかんの思索と日常

「耳をすませば」が好き

スタジオジブリ作品で何が好きですか?」
という質問の答えで、相手がどんな人かちょっと分かるように思いませんか?

わたしは「千と千尋の神隠し」が一番好きで、
次点は「ハウルの動く城」と「耳をすませば」。
その3作品の中で、一番心に残っているのは、
実は「耳をすませば」なのです。
いい年をして、お恥ずかしい・・・。

「特別な何かになりたくて、
しかしその『何か』が分からずにもがき苦しむ」という主人公の姿が、
本当に痛いほど分かる気がするからなんです。
大好きな同い年の男の子は早くも将来を冷静に見据えていて、
その目標に向かって着実に進んでいると言うのに、
自分は何を目標に据えたらいいのかさえ分からず、
その子に置いてけぼりされそうな気持ちでただただ焦るばかりで。
毎回見るたびに主人公と同化してしまいそうになります。

ジブリ作品の名台詞と言えば、
「人がゴミのようだ!」(天空の城ラピュタ)を筆頭にいろいろありますが、
この「耳をすませば」にも隠れた名台詞があります。
「人と違うことをするのは大変なことだよ」がそれです。

三度の飯より本が好き!な主人公月島雫が、
「特別な何か」になるために選んだのは「物語を書く」ことでした。
しかし、それを中学3年で始めてしまったため、
受験を前に成績が急降下してしまいます。
なぜ急に成績が悪くなったのか問い詰める両親に雫は、
「本格的に受験勉強を始める前にどうしてもやらなければいけないの!」と必死で説明します。
それでも反対しようとする母親を制して、父親は
「まあ、やらせてみようじゃないか」と理解を示します。
その父親が雫に言う言葉が、
「人と違うことをするのは大変なことだよ」なのです。
父親だって母親と同じで雫のことを心配に思っているわけで、
その気持ちを知った上で自分の意見を押し通そうとする娘に、
「それには相当の覚悟が要ることなんだよ」ということを一言で示した台詞。
大人たるもの、かくあるべし!という気がして、
雫のお父さん、大好き!と言いたいところですが・・・何せ吹き替えが・・・立花隆さんゆえ・・・。
ジブリの悪い癖で、プロの声優じゃない人に吹き替えをさせたがったんですよね、なぜか。
有名なところでは「となりのトトロ」のお父さん役の糸井重里さんとか、
ハウルの動く城」のハウル役の木村拓哉さんとか。
糸井さんや木村さんは非常に善戦してましたが、
立花さんは・・・あはははは、と苦笑しか出来ないレベルでした)

この「人と違うことをするのは大変なことだよ」を、
わたしは子供たちを育てる過程で何度となく使わせてもらいました。
つい先日も娘に言ったばかりです。
進学校に通いながら美大へ進学しようとすると言うのは、
本当に大変な苦労を伴うことのようで、見ていてちょっと可哀想にもなります。
でも、誰が強いた訳でもなく、娘が自分で選んで進もうとしている道なのですから。
覚悟がちょっと揺らぎそうになったとき、わたしはこの台詞を使っています。
しかし、必ず立花さんみたいなイントネーションになってしまうのが、
残念なところなんですけどね!