まだまだいなかのねずみ

日本の片隅で妻・母・非正規雇用者している栗ようかんの思索と日常

世の中って不条理だな。

月2回の老人ホームでのボランティアのほかに、
福祉関係の仕事のお手伝いを1年ほどしている。
これは、認知症や独居などのお年寄りや各種の障がいを持った方たちの生活を、
主に金銭の管理を手伝うことによって支える仕事。、
市町村にある社会福祉協議会がサービスを受ける方たちと契約し、
わたしたちボランティア(金銭を扱う仕事なので有償だ)が
毎回指示書に従ってお金を出し入れし、必要に応じて各種の支払いを行い、
利用者さんと直接会って生活状況を確認することになっている。
わたしも、始めて1年ほどの間に、
ごく軽い知的障碍のある方や精神障碍者脳梗塞の後遺症を抱えた方など、
年齢も性別もバラバラな数人の方を担当するようになった。
始める前は「とても簡単な仕事です」と言われていたけれど、
発達障害学習障害を持ってるわたしにとって、
実は金融機関に行ったりすることがかなり大変で。
毎回小さな「ポカ」をやってしまい、自分のバカさ加減に悲しくなっている。

先日は軽い知的障碍のあるAさんと会った。
Aさんはわたしとほとんど同世代の女性で、
知的障碍者対象の授産施設で働いており、
月に2回仕事帰りに事務所に寄って生活費などを受け取って帰ることになっている。
軽い知的障碍がある、と事前に言われていたけれど、
実際のAさんは非常に頭の回転が速く、
所謂「知恵おくれ」的な印象は全くない。
寧ろ「発達障害」を疑わせるものがあるなあ、という印象。
(まあ、わたしも「発達障害持ち」ですので、どこか同じ匂いがする人は分かるのです)
その日も「あたし、この頃ちょっと夏風邪引いちゃって体調崩し気味でさあ・・・」
と言うAさんと、近ごろの異常な暑さについてとか、
地球温暖化のこととか、Aさんが溺愛しているネコのこととか、
仕事先でのこと、家でのことなどについていつものように楽しくおしゃべりしつつ、
「ちゃんと遅刻せずに仕事に通っているかどうか」とか、
「体調が極端に悪くなっている兆候は見られないか」とか、
「Aさんの給料や年金をスキあらば使い込もうとするお母さんは最近どうか」とか、
いくつかのチェックすべき点を観察し、話の中で何となーく聞き出した。
15分くらいおしゃべりした後、Aさんは
「じゃ、また2週間後に来ます。またね~」と帰って行った。

机で報告書を書いていたら事務所の職員さんがやって来て、
「友達みたいに話せるのね、すごいですね」と言ったので困惑した。
これって・・・そういうやり方はダメってことなの?
それとも額面通り受け取っていいことなの?
もしかして支援する側と支援される側と、ちゃんと線を引かなきゃダメだったのかなあ?
それとも、わたしのやり方はみんなとは違ってるけどそれはそれでOKってこと?

発達障害のあるわたしは、こういうこともよく分からないのだ。
そんなわたしが「支援する側」、本当に頭が切れるAさんが「支援される側」だなんて・・・。
世の中ってよく分からない、まるで不条理の塊だ。