まだまだいなかのねずみ

日本の片隅で妻・母・非正規雇用者している栗ようかんの思索と日常

こんなにも重要な意味を持つ主題歌を他にあまり知らないな。~「Alfie(1966年版)」を見た~

イギリス映画祭り。
このところそんな状態が続いています。
ハリウッド映画のガチャガチャした感じが、
年を取ってだんだんしょんぼりして来ちゃったわたしの心情に
そぐわなくなったのかもしれません。
 
という訳で、今回は「Alfie」です。
ジャズが好きな人なら、ソニー・ロリンズの演奏する「アルフィーのテーマ」と、
バート・バカラック作曲・ハル・デビッド作詞の「アルフィー」というスタンダードナンバーを
みんな知ってるぜ!というくらい音楽が有名な作品です。
でも、肝心の映画を見たことがなかったのですね。
1966年作品って・・・わたしとほぼ同年代ですよ、これ。
ダークナイト」で渋い執事の役を演じているマイケル・ケインが、
これまたシュッと背が高くて「スーツ」が素敵なジゴロの役どころで出ています。
彼、若い頃こんなにハンサムさんだったのか!
ハンナとその姉妹」なんかに出てた時には、もうおじさんだったから気付かなかったけれど。
 
物語自体はアルフィーが女性から女性に渡り歩く、一見ただそれだけのお話です。
アルフィーは本当に節操のない男で、それに結構ひどいヤツ。
モラルという点で見たら、「地獄に墜ちろ!」と言いたくなるようなこともやってます。
そのくせ、本人はいたって飄々としている。
この作品はカメラのこちら側の人間に向かってアルフィーが語り掛けてくるという形で
話が進められて行くのですが、そのアルフィーの自己擁護の論理がものすごくスマート。
そして、この作品にもユーモアがそこここに散りばめられています。
女性から女性へ、ひらひらと奇麗なチョウチョみたいに飛び回るアルフィー
アルフィーに蜜を吸われ、受粉させられた(実際そうなっちゃった女性も複数いた)女性たちですが、
やがてアルフィーの元をみな自ら去って行きます。
そして、彼女たちは彼女たちなりの「実り」を迎えます。
一方のアルフィーはいつまで経ってもチョウチョのようにひらひら飛び回るだけ、
やがてはその武器であった「若さ」さえも失いつつあることに気付いたところで、
この作品のENDマークが出ます。
 
その後、エンドクレジットと共に流れるのが、バート・バカラック作曲の「アルフィー」です。
ハル・デビッドの手になるこの曲の詞は非常に奥が深く、
「一体どういう映画で流れる曲なんだろう?」とずっと疑問に思っていたのですが・・・。
「ああ、そういうことだったのか!」と思いました。
この映画、感動する場面はそんなにないのですが、
わたしはこの曲が流れた途端、何だかウルウルしてしまいました。
映画のエンドクレジットに流れる曲って、
有名な歌手に話題作りで歌ってもらいました的だったりするものが多い気がしますが、
この曲は違います。
この曲がなかったら、この映画は結末を迎えることが出来なかったでしょう。
それくらい、深い深い意味を持つ主題歌。
本当に胸を打たれました。