まだまだいなかのねずみ

日本の片隅で妻・母・非正規雇用者している栗ようかんの思索と日常

うつ病発症から9年半経って。

ひょんなきっかけから落語を習うことになった訳ですが。
・・・よく決心したな、わたし。
9年半かかって、ようやくここまで来たな、わたし。
そんな気持ちであります。
 
わたしは子供の頃からいろいろ精神的なことで苦しんでまして。
何度も親に訴えたんですが、親が体面を気にして病院へは行かず終い。
結婚してからも過呼吸の発作で何度となく倒れたりした挙げ句、
下の子が年中さんだった9年半前、とうとううつ病を発症。
以来ずっと通院して薬を飲んでおりました。
「3か月で良くなりますよ」。
最初に診てもらった先生にはそう言われたのに、
夫の仕事の関係で転居を繰り返し、
症状は良くなったり悪くなったり。
かなり長い期間薬漬けで(もちろん医師の処方通り飲んでました)、
頭もぼんやりして一日中ゴロゴロ寝てばかりおりました。
「うつが治っていないからですよ」と言われてましたからそうだとばかり思ってましたが、
実は薬の飲み過ぎで副作用がひどかったせいだったんですね。
 
実に9か所目に当たる現在の病院に初めて行ったとき、
前の病院でもらっていた薬の処方箋を見て先生が一言、
「あんた、このままなら、ボケちまうよ。」
びっくりしました。
抗うつ剤でボケるって、そんなむちゃくちゃな話、聞いたことがなかったですから。
(反対に抗うつ剤を飲むことによってうつ病で萎縮した海馬が復活する、
という趣旨の記事なら読んだことがありました)。
複数出されていた抗うつ剤や安定剤を整理してもらい、
それをさらに少しずつ減薬し・・・。
長い間薬漬けだった身体は激しい離脱症状を起こし、
半年以上の間、耳鳴りやめまい、激しい物忘れ、身体の痛みなどに苦しみました。
「この先生は絶対ヤブ医者だ!」そんな恨めしい気持ちで毎日過ごしておりましたが・・・。
減薬を始めて半年が過ぎる頃から、
だんだんと頭がハッキリしてきて、物事が考えられるようになってきたのです。
一日中寝てばかりいたのが、だんだん起きていられるようになり、
そのうちごく短い昼寝をするだけで済むようになり、
やがてずっと起きていられるようになりました。
新しいことに挑戦する気持ちも湧いてきて、
地方紙に短歌やエッセイを投稿したり、
町主催のボランティア講座に参加したりできるようになったのです。
そして、今回、なんと落語に挑戦して、人前でしどろもどろながら、
何とか話せるようになっている・・・。
 
長い長い道のりでした。
もう一生薬漬けなんだ、もう二度と元気にはなれないんだ、
そう何度も思って人生に絶望していたけれど、9年半経ってようやく元気になりました。
病気になる前より、穏やかでいい人間になったと言ってくれる人もいます。
うつ病になってある意味良かった」、
そんな風に書いてあるブログなどを見て「症状が軽いからそんなお気楽なことが言えるんだ」
と心の中で毒づいてばかりいたけれど、
わたし自身も今、そう思えることが沢山あります。
うつ病になって苦しんだ経験があったからこそ、
父が苦しんでいる時に粘り強く接することが出来たように思います。
以前のわたしなら、姉さんがそうしたように父を見捨ててしまったかもしれません。
短気を起こしてひどいことを言ったり、父を一層悲しませてしまったかもしれません。
 
だから・・・。
うつ病で先が見えなくて困っている方も、希望を捨てないでください、と言いたい。
子供の頃から心の問題をいっぱい抱えていたわたしでさえ、
暗く果てしないトンネルに出口があり、
あたらしい場所へたどり着くことが出来たのですから。