まだまだいなかのねずみ

日本の片隅で妻・母・非正規雇用者している栗ようかんの思索と日常

柳家花緑師匠の落語を堪能しました!

柳家花緑師匠の独演会に行ってきました。
かあさんが亡くなって以来、
とうさんの生活を支え、息子の受験を支え・・・と
バタバタし通しだったわたしにダンナさまが
「たまには一緒に息抜きしようよ」とチケットを買ってくれたのです。
 
会場は県立図書館附属のホールです。
キャパは250人くらいかな。
チケットは完売だったそうで、お客さんがぎっしり。
平均年齢は相当高め、40代のわたしでも若い方に見えるくらい。
みなさん嬉しそうな表情で開演のときを待ちました。
 
最初は前座の柳家フラワーさん。
・・・上がってる。
実にはっきりと上がっておられました。
「大丈夫かな?」と心配になるくらいの早口で、
フラワーさんの内心の焦りがこちらにも伝わり、
手に汗握ってしまいました。
しかし、徐々に落ち着きを取り戻し、
だんだんこちらも噺に入っていくことができかけたかな・・・で終了。
なんだか、最後急いでゴールに飛び込みたかったみたいになっちゃって、
肝心のオチがよく聞こえなかったのが残念でした。
フラワーさん、これからも頑張って!!!
 
さて、いよいよ花緑師匠の登場です。
花緑師匠は、実は毎年この町においでだったそうなのですが、
昨年だけ演劇関係のスケジュールと重なっておいでになれなかったとか。
「そんな訳で今夜は2年分話します。」
やんやの大喝采!!!
なんと、師匠が4席も語ってくださるとのこと。
 
演目は「つる」「粗忽長屋」「花見小僧」「試し酒」でした。
浅学なわたしは「つる」と「試し酒」しか知りませんでしたが、
そんな、前知識があるかどうかなんか、もう全然関係なし。
楽しい!
面白い!
バカらしい!
・・・そんな、バカな!
笑って、笑って、笑いました。
 
噺が素晴らしかったのはもちろんのことですが、
師匠の「新しい話芸」が本当に見事で愉快でした。
昨日の師匠の独演会の中には、
「グーグル」「東京ディズニーランド」などというワードも出てきました。
そういう現代の世界と、落語の中の熊さん、八っつぁんの世界とが、
喧嘩することなく、乖離することもなく、
自然とつながっていくように語る師匠の力量に感服しましたねえ。
演目の古典落語の言葉遣いなども、
微妙に現代にマッチするように変えてありました。
古典落語を古典のまま演じてしまうと、
今のわたしたちには理解出来ない事柄や物の名前などのオンパレードになってしまい、
いちいちその解説を入れる必要が出てきてしまうことによって、
落語の本来持つリズムとか、おかしさとかが損なわれてしまう、
と聞いたことがあります。
かと言って解説しなければ、ものすごーく博学の方でfないと、
落語を楽しめなくなってしまうと。
本来庶民の文化である落語としては、
そういう床の間に飾られるみたいな扱いはどうなのか・・・。
師匠の落語はその辺りの問題を実にスマートに乗り越えておられると思いました。
師匠がちょっぴり自嘲的にご自分の落語を「邪道」とおっしゃってましたが、
その辺を批判する落語ファンもいらっしゃるのかもしれませんね。
でも、わたしはただ「落語が好き!」というだけの人間なので、
本当に楽しく師匠の落語を堪能しました。
 
昨日、実は一番わたしがウケたのは、
師匠の話の中に出てきた、埼玉県のとある文化会館での出来事。
その日、師匠は小ホールに出演し、大ホールではリコーダーのコンサートがあったそうで。
リコーダーのコンサートに出演した小学校3、4年生と思しき女の子の集団と、
自販機に着物姿で水を買いに行った師匠がすれ違ったときのこと。
通り過ぎた師匠の後ろで、
「・・・さむらいだ。」という声が聞こえたそうで。
(ここで会場は大爆笑。)
ところが、別の子が言ったことには、
「そういう言い方は良くないと思う。」
そして、
「おさむらいさん、だよね。」
もう、おかしくて、おかしくて、
「窒息するぅ~っ!!!」というくらい笑ってしまいました。
これ、こうやって文字にしても「なんのこっちゃ、
これのどこがそんなにおかしいんかいな。」と言う感じなのですが、
この話がひとたび師匠の口から語られるとなんとも言えないおかしみがあって、
本当に本当に面白かったのです。
娘がいるわたしの中では、
通り過ぎた師匠を見て「さむらいだ。」と言ったのは○○ちゃん、
そして「おさむらいさん、だよね。」としかつめらしい口調で言ったのは××ちゃん、と
瞬時に脳内変換されて、頭の中で動画が勝手に再生されてしまいました。
 
6時半の開演からたっぷり2時間以上、
終演後帰るお客さんを師匠が握手しながらお見送りしてくださいました。
もちろん、わたしもしっかり握手していただきましたよ!
間近で拝見した師匠は華奢で小作りな方で、
とっても笑顔が素敵でした。
 
花緑師匠、楽しい時間をありがとうございました。
ますますのご活躍を、ここ日本の片田舎よりお祈りしております