まだまだいなかのねずみ

日本の片隅で妻・母・非正規雇用者している栗ようかんの思索と日常

息子の初帰省

この春から東京で大学生している息子が帰ってきた。
ほとんど空っぽのキャリーケースを引き、ウクレレを背負って。
 
夜行バスで早朝この町に着いた息子。
うちのアパートはバス停から3キロ以上離れている。
「荷物も多いだろうし車で迎えに行こうか?」と尋ねると、
息子は「久しぶりだから歩きたい」と答えた。
 
息子は1ヶ月ちょっとでかなり痩せ、もともと細面の顔が一層細くなり、
ほおもこけた感じになった。
帰ってきて嬉しいのかにこにこしていたが、
顔じゅうシワシワでちょっと痛々しい感じに見えた。
朝ごはんにつくねと春雨が入った中華風スープとおにぎりを出すと、
「ああ、お母さん、すごく美味しいよ。」とぱくぱく食べた。
 
息子が帰ってくると言っても先立つものがなく、
遠出やショッピングや外食などは出来ない。
そこで栄養が足りてなさそうな息子のために、
好物をどんどん作ってやることに決めた。
ギョーザ、ざるそば、鮭のホイル焼き、茶碗蒸し、豆入りキーマカレー
フレンチトースト、紅茶のケーキ・・・。
ビスコッティとシナモンクッキーは沢山焼いてお土産に持たせることにした。
 
「美味しいよ。」
息子はにこにこしながら作ってやったものを美味しそうに食べた。
そして、わたしたちは沢山沢山話をした。
一人暮らしのこと、大学の講義のこと、これからやりたいと思っていること・・・。
中3の娘も一緒に3人でご飯を食べながらバカ話をして、
わっはっはと大笑いした。
ゴールデンウィーク中も連日仕事の夫も夕食に間に合うように帰宅して、
家族4人で食卓を囲んだ。
本当に楽しい5日間だった。
 
そして昨日の夜。
息子は夜行バスで東京へと戻って行った。
来るとき空っぽだったキャリーケースには、
安売りで買った上白糖やらビスコッティやクッキーやら、
何冊もの「きょうの料理ビギナーズ」やら、特売で買ったそば猪口に丼やら。
それに息子の大好きなコーヒーを二袋、バンホーテンの純ココア一缶、
箱入りの小さい明治ミルクチョコなども詰めた。
本当はもっといろいろ持たせてやりたかったけど、
残念ながらそれで精一杯。
息子は「こんなにいろいろ・・・。本当にありがとう、ありがとう。」と
何度もお礼を言っていた。
 
見送りに行ったバス停で息子は泣き出しそうな顔をしていた。
「一人暮らしって寂しいものなんだね。」
帰省中息子は何度かそう言っていたっけ。
人一倍寂しがりやの息子には、独りぼっちのアパート暮らしがこたえているようだった。
でも・・・。
仕方がないんだよ。
いつかは通らなきゃならない道なんだ。
そうやってキミは新しい世界へと巣立って行かなければならないんだよ。
お母さんだって本当のところはすごく寂しいんだけどね。
 
夏休みに一回り大きく成長した息子に会うのを楽しみに、
わたしも明日から頑張らなくては。