まだまだいなかのねずみ

日本の片隅で妻・母・非正規雇用者している栗ようかんの思索と日常

「おいちいでちゅか?」

わたしは可愛げのない子どもだと親から言われていた。
実際そうだったのだと思う。
あれは、一体わたしがいくつぐらいだったときのことなのだろうか。
わたしがデパートの屋上遊園やら公園やらで何か食べていると、
よく見知らぬ女性たちからはなしかけられた。
それが、みな、判でついたように、
「おいちいでちゅか?」
・・・まただ、まったくこっちが子どもだと思ってバカにしている、と思いつつ、
「はい、おいしいです。」ときちんと答えても、
「そうでちゅかあ。それはよかったでちゅねえ。」と来る。
そういう赤ちゃん言葉で話しかけられるのが、たまらなく大嫌いだった。
相手が赤ちゃん言葉で話しかけてくるぐらい小さかったのに、
わたしは心の中でそんな風に感じ、内心激しく怒っていた。
 
だから、自分の子どもには赤ちゃん言葉では話しかけなかった。
おなかを「ぽんぽん」とか靴下を「たんたん」などとは言った。
でも、「おいちい」とか「~でちゅね」とかとは絶対言わなかった。
バカみたいにゆっくり話しかけることもしなかった。
自分がそうされてイヤだったから。
正しい発音で、心持ちゆっくり話しかけているうちに、
子どもたちはきちんと話せるようになった。
 
子どもって、オトナが考えてるより、複雑な生き物なのだと思う。
わたしに「おいちいでちゅか?」と話しかけてきた女性たちは、
自身が子どもだったときのことを忘れてしまっていたのだろうか。