まだまだいなかのねずみ

日本の片隅で妻・母・非正規雇用者している栗ようかんの思索と日常

「超ビッグ」になった人

先日、東京からエラい先生が来る会に参加しました。
「スーツかワンピース」というドレスコードがあり、
あわててこの春子供たちの卒入学に合わせて買ったソフトスーツを
クリーニングに出したりして。
当日は受付も担当したため、会場入口で参加者をお迎えしました。

そんな中に「Aくんのママ」がいました。
「Aくんのママ」は「受付」と書かれた場所で名簿を前にしているわたしを
ちらっと見ると完全に無視し、
さっさと会場内に入ると
中央省庁から来た「顔見知り」のところへ行って
談笑を始めました。

「Aくんのママ」は幼稚園時代の息子の親友のお母さんです。
息子たち「仲良し5人組」のママの一人で、幼稚園で会うたびに
楽しくお付き合いさせてもらっていた方。
高校でも同級になり、参観日に会って
「変わらないなあ」と思っていたのですが・・・。
我が家が転勤している間に、いつの間にか
「地元NPO界の超ビッグな有名人」になっていたそうです。
ひょんなことからNPOで働くことになった時に
連携依頼を兼ねて挨拶に行ったのですが、
「栗さんって働かない人だと思ってたけど・・・。
あなたのとこのNPOね、評判悪いわよ」と言われ、
連携依頼をその場で断られました。

「ああ、『働く』ってこういうことなんだな」と思うと共に、
「Aくんのママ」に対して激しくがっかりしてしまったのです。
その後、仕事ではなく本屋さんなどでバッタリ会うこともありましたが、
以前とは違って手のひらを返したような冷たい対応をされ、
そのたびに心が冷え冷えとする思いをしました。

会議の中で、わたしは「Aくんのママ」がNPOの人として話すのを
初めて聞きました。
さすがだなあ、という流麗さで、場を全てさらった感じでした。
ガシャガシャとしていて決して綺麗ごとだけではないNPOの活動が、
あんなに感動的でシンプルなストーリーになるんだなあ、と
文章を書くのが好きなわたしはおかしな感動を覚えてしまいました。

会議終了後、東京から来たエライ先生と記念撮影をすることになった時。
「Aくんのママ」は先生の隣に張り付くようにして独り占めし、
へこへこしながら名刺を渡していました。
まるで米つきバッタみたいなその姿を見ているうちに
「おとなって、本当にへんてこな生き物なんだなあ」という
「星の王子様」の一文が頭に浮かんでしまった、わたしなのでした、
自分だってもう十分すぎるくらい「おとな」になっているはずなんですけどね。