まだまだいなかのねずみ

日本の片隅で妻・母・非正規雇用者している栗ようかんの思索と日常

小さな恋のメロディ

(書庫「子育て」の中の「髪飾り」をまずお読みください)

娘は女子高に通う3年生。
来春県外の美大に進学を希望していて、
土日もアトリエでデッサン三昧の日々を送っています。
今年の夏休みはアトリエの夏期講習と、部誌用の作品(文芸部なので)、
あとは大量の課題をこなすだけで終わってしまいました。

そんな中、「君の名は。」が公開され・・・。
今年の春ごろだったか、娘宛にHくんから珍しくメールが来て、
「『君の名は。』が公開になったら、一緒に見に行こう」とお誘いがあったのです。
でも、いつものようにHくんからはその後連絡一つなく・・・。
そして、娘はこれまたいつものように、
「Hだって共学校に通ってるんだし、
あたしなんかよりずーっと可愛い女の子に気持ちが移ったんだよ、きっと」と
思い出したかのように時折つぶやいていたのです。

でも、HくんはやっぱりHくんだったのですね。

文化祭も終わった先日、「一緒に見に行こう」とメールがあったそうです。
「何考えてんのかな、Hって。
アトリエまで迎えに行くから、だって!
ヤだよ、そんなの、次行った時にみんなにイジられるもん」と口を尖らせつつ、
娘はとても嬉しそうな様子でした。

ひょろりん、しゅうっと背が高く、ちょっと「羽生結弦」似のHくんと、
骨太のガシっとした体形で背もちょっぴり低め、いつも不機嫌そうなうちの娘と。
「Hくんは、うちの娘のどこにそんなに惹かれたのかなあ」と、
母は内心不思議に思っていたのですが。
娘の作品にヒントが隠れていました。
小説にせよ、デッサンにせよ、色彩構成にせよ、
娘の作品はどれもが驚くような繊細さに満ちていて、
「あの子の心の中にこんな世界が広がっていたのか・・・」と、
わたしは新しい作品に触れるたびにビックリさせられているのです。
優しくて穏やかなHくんは、そんな「本当の娘の姿」を好きでいてくれるのかも知れません。

来春には家を出る娘、Hくんとの関係も大きく変わることでしょうが・・・。
彼女たちの「小さな恋」を、ドキドキしながらそっと見守っている、母なのです。