まだまだいなかのねずみ

日本の片隅で妻・母・非正規雇用者している栗ようかんの思索と日常

「専門家」ってなあに?

ひょんなことから(・・・って、今までにも何度も書いてますね
半分公的な場所でお仕事をすることになりました。

そういう中で、(メンタル面メインの)「専門家」という方と会う機会がありました。

頂いた名刺にはその方が所属している組織(一般社団法人とか、そういう類のもの)の名の他に、
「メンタル××専門家」とか、
「○○カウンセラー」「××カウンセラー」などの肩書、
「カウンセリング実績2011年以降○万人!」などの文字が。

さてさて、わたしは、37歳の時にうつ病と診断されて以来、
結構心理学の本や認知行動療法を始めとする治療法の本などを読んで来ましたし、
実際東京と今住んでいる町とで、カウンセリングを受けた経験がたくさんあります。
(怪しげな場所で受けているのではなく、精神科の病院で、
きちんとした先生にカウンセリングして頂いています)
まあ、全くのシロウト、という訳ではないということと、
一応教員の経験もあり、「人を見る目」があるんじゃないの、あなた?ということで、
今度講座のようなものをお願いすることになった、
その「専門家」との打ち合わせに同席することになったのです。

その方は、偉そうな態度と気取って気だるげな口調(ここはあくまでも主観的なものですが)で、
いろいろとお話なさったのですが、
「この程度のことなら、わたしでもすぐに言えるなあ」と思うようなことしかおっしゃらなかったのです。

具体的な内容を詰める段になり、
「講座だけでなく、日常生活の中でもちょっと使えるようなものを、
時間を設けて皆さんと実践してみよう」ということになりました。
その際、講座の時間を設定するのに必要だと思ったので、
わたしは何の気なしに「○○さんは、どのような手法をお使いになるのですか?」と尋ねたのです。

その質問が、まさか地雷になろうとは。

それまで、アンニュイな口調で気取って話していた相手が、
突然攻撃的な態度になったのです。
「手法って、わたしは、どんな方法でも出来ますから!
講座に参加した人を当日見て、その人たちに合った方法をその場で取れるんです!
だから、どんな手法かなんて、事前にお話出来ません!」

わたしは、心底びっくりしました。
わたしがお世話になっているカウンセリングの先生だって、
長年勉強を続けて来られているにも関わらず、ほんのいくつかの手法しかお使いになりません。
・・・と言うより、お使いになれません。
なぜなら、一つ一つの手法(認知行動療法とか、EMDRとか)を習得するのに、
それはそれは長い時間がかかるからなのです。

それにも関わらず、目の前の「専門家」は、どんな方法でも出来ると言い切っている。
そして、その「専門家」がメンタル系の仕事を始めたのはそう昔からではなく、
実は東日本大震災のボランティアとして現地に入ったのがきっかけだと本人が言っている。
たった5年ちょっとの活動期間にも関わらず、カウンセリング実績が数万人に上ると言っている・・・。

「この人は、残念ながら『ニセモノ』、または『なんちゃって専門家』だな」と
わたしは焦ったような口調で自分の「実績」をベラベラと並べたてる相手を前に感じました。

事務所に戻ってから、その人が所属している組織のHPを見て二度ビックリ!!!
「専門機関」「○○カウンセラー養成コース」「××カウンセラー養成コース」などの字が躍り、
しかも、その費用が数十万円であると書いてあったのです。
「○○カウンセラーとして認定されます」なんて書いてあるけれど、
それは全く公的な資格でも何でもなく、「認定」してくれるのは、
その「ニセモノまたはなんちゃって専門家」たちであり、
世間的には何の意味もない紙切れを手に入れるのに数十万円を払わせているという、
詐欺まがいのことをしている組織だったのです。

「でもね、自治体がここを結構信用していて、セミナーとか依頼してるみたいなんだよ。
そういう関係で、うちの団体だってここを紹介されたんだから。」

聞けば、東日本大震災後の被災地へは、こういう何だか胡散臭い人たちがたくさん入り込んで、
甘い汁を吸い放題、みたいな話が結構あったみたいなのです。

・・・うーん。
「専門家」って一体何なのだろう?とわたしは悩んでしまいました。

わたしが以前お世話になっていたカウンセラーは「臨床心理士」の資格は持っていない先生でした。
でも、そのことをきちんと最初におっしゃっていましたし、
様々な手法の研究をする学会に所属して(例えばEMDRとか、そういうものですが)
絶えず研さんを積んでおられ、心理学関係の論文を書いたり、大学の先生と共著で本を出したりと、
精力的に活動なさっている先生でした。

ですから、わたしは「肩書」が万能だなんて、全く思っていないんです、もちろん。
むしろ、きちんと勉強をして力があっても「肩書」が無いからと評価しない、
社会のありようを疑問に思います。
そして、そういう形で低く評価される人がいる一方で、
見せかけの「肩書」を勝手にくっ付けただけなのに、
「エライ専門家の先生」としてもてはやされる輩がいること、
そしてそういう輩が詐欺まがいの行為により、
多額の報酬を得て(田舎の純朴な人々をだましてお金をむしり取って)いることに、
激しい怒りを覚えずにいられないのです。

EMDRとは・・・。
以下、コトバンクEMDR」の項目よりの引用です。

「 眼球運動による脱感作と再処理法のこと。Eye Movement Desensitization and Reprocessingの略。PTSD(心的外傷後ストレス障害)に対して効果が実証されている心理両方で、精神科疾患、身体的症状の治療においても成功例が報告されている。1989年に米国の臨床心理学者Francine Shapiroが発表した。2012年5月までに全世界で4万人以上の専門家が育成され(日本では約1500名)、400万人以上が治療を受けた。」

わたしは、複雑性PTSD(家族による虐待等、長期にわたってトラウマとなる事象にさらされたことが原因で起きるPTSD)と診断されており、この治療を継続して受けたことがあります。