まだまだいなかのねずみ

日本の片隅で妻・母・非正規雇用者している栗ようかんの思索と日常

パッとしない男

半月ほど前、わたしの仕事先に新人くんが来ました。
御年30歳、大学卒業後私立高校で数年間教えていたというYくんです。
大学の工学部を出ているというYくんはIT関係に強く、
「期待の新人」という感じでみんな迎えたのですが・・・。

このYくんが、何とも「パッとしない男」なのです。

先日、仕事関係の買い物をいろいろ頼まれた際、
Yくんが運転手兼荷物持ちとして付いて来ました。
ところが、店へ着くとYくんは「あ、先に行っててください」。
そして、買い物も終わって会計が済んだ頃、
全身からタバコの臭いをプンプン漂わせながら現れて、
「あ、もう終わったんすか?じゃ、次ですね~」
と言いながら、先に車へスタスタ(荷物は当然全てわたしが持った状態)。
それを、5軒ほど店を回る間ずーっと続けたのです。

全て買い物が終わって事務所へ戻る車中で、
さすがにこれはひと言言わなくちゃならないと思い、
「今日、Yくんは運転手兼荷物持ち、ということで付いて来たんですよね?」
「あ、そっすよ」
「確かに運転はしたけれど、お店に着いてから、Yくんは買い物の間中外でタバコ吸って、
荷物持ちは全然しませんでしたね?」
「あ、まあ」
「荷物ね、結構重かったです。
Yくん、どこかで気付くかな、と思って黙ってたんだけど、最後までそのままで」
「ああ、まあ・・・はい」
「Yくん、彼女さんがいて、毎日お弁当も作ってもらってるって言ってたけど、
買い物に行っても荷物持ってあげたりしてないんですね、きっと。
それって、男の人としてどうかと思う。
せっかく体が大きくて力持ちなんだから、買い物に行ったら女の人の荷物は持ってあげなくちゃ。
たったそれだけのことで、Yくんの株がグッと上がるんだし」
すると、Yくんはニヤニヤしながら「そっすか」と言っただけだったので、
わたしは心の中で、「だめだ、こりゃ!」と叫びました。
いかりや長介さんみたいに。

他にも持ち回りの掃除当番で手抜きし放題だったり、
勤務時間中に全く関係のない動画を某サイトで見てたり、
ダラダラと文書を作ってその合間に喫煙室に入り浸ってたりと、
半月の間に武勇伝を重ねつつあるYくん。
先日、面倒見のいいKさんがお昼の時間にたまりかねて注意しました。
すると・・・。

「頑張って仕事したって、給料上がんないっすよね?」
とYくんがのたもうたのです。
さらに、「人遣い荒い割に給料安いっすよ、ここって」
途端に周囲の空気が凍り付きました。
「そういうことを言うこと自体非常識だよ。
わたしたち下っ端だけしかいないからまだいいけれど、
事務所の上の人たちの耳にそんなことが入ったら、大変だからね!」
びっくりしたKさんがきつい口調でたしなめても、
Yくんはどこ吹く風、と言った風で
「だって、ホントのことっすよね」ですと。

・・・うーん。
筋金入りのKYくんなのか、はたまた救いようのないおバカさんなのか、
若しくはアスペルガー症候群なのか(わたしのカンではこれが最有力)。
何にせよ、30歳になるまでこんな状態でいた(居られた)ことが、
幸せだったのか不幸せだったのか。
「バカにつける薬はない」
「そんなら飲み薬でいいよ、おとっつぁん」
落語のオチが頭をよぎり、苦笑するしかなかったのでした。