ちりめんじゃこ
昨日、夫の夕食用にちりめんじゃこを入れた炒飯を作った。
娘と二人、夫の帰宅を待たずに夕食を摂っていた時、
出しっぱなしだったちりめんじゃこを見て娘が言った。
「かわいそうにね、お前たち。
こんなに小さいうちに捕まっちゃって。
ホントならもっともっと大きくなれたのにね」
それを聞いた途端、金子みすゞの「大漁」の一節が思い浮かんだ。
>浜は祭の
>ようだけど
>海のなかでは
>何万の
>鰮のとむらいするだろう
娘はちりめんじゃこを「良心が痛むから食べない」と言う。
不愛想で無表情で、口を開けば辛らつなことを言う娘。
でも、その心の中には実はやさしくキラキラとした世界が広がっているのだ。
不愛想で無表情な外見は、内側にある壊れやすく繊細なものを守るために
娘が身につけている鎧みたいなものなのだろう。
みすゞがたどった運命を思うとき、
母は娘の未来がどうか明るいものでありますようにと、
祈らずにいられないのです。