せつなかったこと
あなたと並んで夕焼けをみる
「ああ、今日の夕焼けは特別きれいだねえ」
ああ、そうだね、きれいだね、とあなたが答える
でも わたしが見ている夕焼けとあなたが見ている夕焼けとは
ほんとうに同じ夕焼けなのだろうか
わたしが「赤」と呼ぶ色とあなたが「赤」と呼ぶ色とが
果たしてほんとうに同じものとして認識されているのだろうか
夕焼けは赤 空は青 雲は白 木の葉は緑 うちの車は銀
そんな風にあなたと話していて何の矛盾も生じていないけれど
果たしてそれらがまったく同じものとして認識されているのかは
実は誰にも確かめようのないことなのだ
そんなことに気付いたとき
わたしはちょっとだけせつなかった