まだまだいなかのねずみ

日本の片隅で妻・母・非正規雇用者している栗ようかんの思索と日常

髪を・・・。

わたしは大学時代、韓国人姉妹の家庭教師をしたことがありまして。
韓国人クラブを経営する家の子供たちだったので、
クラブで民族舞踊などをお見せしているお姐さん方や、
親戚の方々などにも何度もお目にかかりました。

あれから幾星霜。
テレビや映画などで目にするかの国の方々が、
なぜか驚くような美男美女ばかりになり、「???」と思っていたのですが・・・。
全員ナチュラルな美男美女、という訳じゃなかったんですね。
色々と駆使した技の結晶、という方も少なくないとか。
それにしても、かの国の技術の高さには脱帽です。
色々と注入するのが主流らしい日本でのそれに比して、
大胆に骨を削ることにも躊躇しないからなのか、
「ビフォア・アフター」感がものすごいように感じられます。
アフターは、もはや全くの別人・・・。
「大変身!」という感じです。

「美しくなれる方法があるのなら、なぜ試してはいけないのか?」
かの国の人々はそんな風に考えるそうです。
それで、自分の子供が美しくなって幸せな人生を手に入れられるように、なのでしょう、
大学入学や就職のお祝いに親が子供にプレゼントとして・・・ということも珍しくないのだそうで。

そうか、もしかして、行く先々で強気な発言を繰り返している女性大統領も、
若々しく見せるためにそんな技術のお世話になっているのかも知れませんね。

それはいいとして。
かの国の人々は、一体どうやって年を取って行くのでしょう。
しわが寄ったら引っ張って、余った部分は切り取って、白髪は常に美しく染め、
シミやそばかすは上手にカバーして、常に運動して体形を維持し・・・。
でも、それを一体いつまで続けるのかなあ。
まさか、50になっても60になっても30そこそこの見た目を堅持する訳じゃないですよね。
一体どこで止めるのかなあ。
かの国の人々だけではありません。
とにかく「若く見える外見」にやたらとこだわるようになったわたしたち日本人だってそうです。
「歳を取らないように頑張って」いるうちに「歳を取っていないように見える」ようになり、
それが今では、みんなが
「歳を取らなくて済むようになった」と誤解してしまっているように思えます。

でも、ホントはそうじゃない、そんな訳がない。
「時の流れはとどめられない、今この時も流れている」
古い合唱曲の一部ですが、今も昔も変わりのない、これこそが真実なんですよね。

およそ50歳のわたし、近ごろ本当に年齢を感じるようになりました。
老眼が進みました(PCのせいもあるかも)。
シミが急激に増え、頭髪以外にまつ毛やまゆ毛にも白髪が交じるようになりました。
それに、驚くほど物覚えが悪くなり、反対に忘れるのだけは大得意になりました。
関節痛がモグラたたきのように身体のそこここで起き、
朝起きると右手がひどくこわばるようにもなりました。
「栗さん、あなたね、江戸時代だったら、もう晩年なんですからね。」
以前わたしの主治医に言われたことです。
言われた当時はちょっと憤慨もしたのですが、
ほんの数年で「まさしく晩年の感あり」と思うようになってしまいました。

そうなんですよ、わたしは、世が世なら、もう立派なおばあさん。
でも、今の世の中ではそうは行かないのです。
「白髪は汚い」そんな風に感じる人も少なくないらしい・・・。

どうしてわたしがこんなことをグダグダと記事にしているかと言うと、
これまたひょんなことから(「ひょん」が多すぎ!!!)知り合った
アパレル関係の仕事をなさっている方に、
けちょんけちょんにダメ出しされたからなのです、わたしの外見全般に。
特に白髪について、「今の50代はね、まだまだ『若い』って思われてるのよ。
そんなおばあさんみたいな髪してたら、かえっておかしいわ」と強力に髪染めを勧められ、
わたしは仕方なく髪を染めてしまったのです。

着て行った私服にもキツーいダメ出しされました。
「ほら、あなたにはこういう服がいいのよ」
絶対に選ばないような色、形、デザインの服を着せられ、パーマもかけた髪をして。
わたしがわたしでなくなったみたいに感じます。
「ほら、こんなに若々しくなって・・・娘ちゃんだって大喜びよ、絶対に!」
高校生だった頃からずーっと白髪にあこがれていたんだけどなあ。
「『自分で好きかどうか』だけじゃ、そんなの、ただのひとりよがり!
他人からどう見えるかが重要なの!」
義父のこと、義母のこと、教育費のこと、老後のこと、夫との関係・・・。
わたしに「好きなようにできること」なんて、ほとんどないんだから、
自分の外見くらい好きなようにしていたかったんだけどな。
いかにも「デキる女」然とした、
押しの非常に強い相手にはとてもそうは言えず、
「ねっ、悪いけど、元のあなたは『痛い人』だったわよ。
すっかり素敵になったでしょ?」
と得意そうに言われた際にも「そうですね」と返事をしてしまう、弱気なわたし・・・。

年よりも若く見えるって、本当にそんなにも大事なことなんでしょうか?
「見目より心、って言いますよね・・・???」
恐る恐るそうアパレル女史に言って見たら、
「そんなこと、信じてるの?
人は見た目だけで第一印象を決めちゃうのよ。
第一印象を決めるものは、100%、外見!」と自信たっぷりに言い切られてしまったのでした。