まだまだいなかのねずみ

日本の片隅で妻・母・非正規雇用者している栗ようかんの思索と日常

132人vs???人

パリの連続テロ事件。
犠牲者数がさらに増え、132人になったと今朝のラジオのニュースで聞いた。

新聞を開く。
紙面は当然このニュースで埋め尽くされている。
「容赦ない報復を」
犠牲者を悼む一方で、
テロリストへの怒りをあらわにする人々の生々しい声、声、声。

確かに、確固たるものだと思っていた平和な暮らしが、
一瞬にして奪われ、破壊されれば、そのような気持ちを抱くのも当然だろう。

しかし・・・。
「逆もまた真なり」なのである。

過日、イラクの真実を伝えるドキュメンタリー映画の上映にちょっとだけ関わった。
「栗ちゃんは、全編見るのは止めた方がいいかも・・・」
そんな風に言われて、臆病者のわたしはチケットのもぎりだけを担当させてもらった。
それでも、モニターのスピーカーからはひっきりなしに
人々の絶叫、爆発音、ものすごい足音・・・と言った音が流れていた。
そして、わたしはほんの一瞬だけ、見てしまったのだ。

地面に並べられた、幼い子供たちの亡きがらを。
それを取り囲んだ女性たちの顔には悲しみと絶望が、
そして男性や少年たちの顔には激しい怒りと憎悪の色が見て取れた。
命を失い、ぐったりとなった幼い娘を抱いて、
カメラに向かって必死の形相で叫ぶ父親と思しき男性の言葉。
わたしにはもちろん一言も理解出来なかったけれど、
その怒りと憎悪の激しさだけは十分に分かった。

・・・ショックだった。
同じ母親として、幼い子供たちの亡きがらを見ることほど辛いことはない。
映画の上映が終わったあと、何日間もあの瞑目した子供たちの姿と、
それを取り囲んでいた人々の姿とが脳裏から離れなかった。

もちろん、テロ行為は許してはならないことだ。
しかし、ISへの空爆が激しさを増すほど、
巻き添えになる市民の数もまた増していく。
子供を、兄弟を、妻を奪われた人々は、
心の中に消えることのない憎悪の炎をたぎらせて、
報復するためにISへ同調してゆく。

もう、どれだけ殺したってダメなんだ。
殺せば殺すほど、憎しみを抱いた人々が双方で増すだけなんだ。

「じゃあ、どうすりゃいいって言うんだ?」

・・・そうなんです、そこなんです。
ずーっとずーっと考え続けているのだけれど、
それがどうしても分からないのです・・・。