まだまだいなかのねずみ

日本の片隅で妻・母・非正規雇用者している栗ようかんの思索と日常

トニー・ベネットの新譜は、絶対「買い」ですよ!~Tony Bennett & Bill Charlap "The Silver Lining"~

80歳を記念して最初のデュエットアルバムを出して以来、
トニー・ベネットのデュエットアルバムは手を変え品を変え濫発されてきました。
オーケストラをバックに派手に歌う御大の歌も素敵ではあるのですが、
正直なところ、少々聴くのに疲れてしまってました。

今回のアルバムは、ビル・チャーラップとのデュオ、ピアノトリオ、
そしてもう一人ピアニストを加えたダブルピアノとの録音。
全曲ジェローム・カーンの楽曲を歌っています。

今日、熱帯の大河の名を冠した某ネットショップからアルバムが届きました。
早速聞いてみましたが・・・うわああああああああああああ、これ、とってもいい!!!!!
1曲めの「All the things you are 」でガツンとやられました。
ヴァースからしっとりと歌い出した御大の声が、あのお馴染みのメロディーを歌い出した途端、
ポロポロとひとりでに目から涙が・・・。
この曲って、こんなに心にしみる曲だったっけ?
エラ・フィッツジェラルドの歌も聞いたことがあるし、
もちろんバードの演奏も聞いたことがあったけど・・・。
天才の名を欲しいままにした上、ヤクに酒にオンナと人生を謳歌しまくったバードでも、
たった一つだけ出来なかった「長生き」。
89年分の人生経験を積んだ御大は、楽しい歌はウキウキと軽やかに、
しっとりとした歌は深い深い陰影をたたえた歌唱でと、
自由自在におなじみの名曲を歌いこなしています。

そして、もう一つ忘れてはならないのが・・・。
ビル・チャーラップ、ピアノがものすごく上手いです。
そして、ピアノの音色がとても優しい!
控えめではあるけれど、端正で上品で、真面目な演奏のスタイルが、
御大の歌のスタイルとベストマッチしています。
いやあ、ちょっとびっくりしました。
ビル・チャーラップの演奏を15年ほど前に聞いたことがありましたが、
その時の印象は「パッとしないなあ」だったので。
ただ単にわたしに聞く耳がなかっただけかもしれませんが・・・。

それにしても、かのフランク・シナトラでさえ、
晩年のアルバムは散々な出来でしたが、トニー・ベネット御大は・・・。
まさしく「継続は力なり」、いい時も不遇の時も倦まず弛まず、
きちんとベルカント唱法のトレーニングを続けながら、
きっちりと体調管理をしてきた賜物なのでしょう。

こんなところで言ってみてもどうしようもありませんが、
どうかこの先もお元気で、素晴らしい歌声を100歳になっても届けてくださいね!
それまでには、どうにかしてお金をためて、
ニューヨークに「生トニー」を聞きに行きたいです。