まだまだいなかのねずみ

日本の片隅で妻・母・非正規雇用者している栗ようかんの思索と日常

認知症のため?性格が変わって来たFさん

デイケアサービスを利用しに老人ホームに来ている、
ダンスホールの女王」ことFさん。
昭和ヒトケタとは思えないほど若々しく華やかな雰囲気の持ち主で、
今でも人目を惹くほど美しい顔立ちをした女性なのだが・・・。

このFさんの性格が変わって来ているのではないか?と、
わたしたちボランティアメンバーの間で話題になっている。

元々Fさんは、SさんとTさんという二人の女性と仲良し三人組だった。
いつも三人で同じテーブルにつき、コロコロと笑い声を上げながら、
他愛ないおしゃべりをして過ごす様子がいつボランティアに行っても見られた。
そのうち、Tさんの認知症が進行し始め、
他の二人のおしゃべりに付いて行けなくなってしまったため、
一人別のテーブルの席に着くようになった。
そちらのテーブルにはFさんたちのように賑やかではないけれど、
頭がとてもしっかりしていて穏やかな女性が三人ほどいつも居て、
Tさんのことをすんなり受け入れてくれていた。

ところが最近、一体どういう施設側の意図なのか、
TさんがまたFさんたちと同じテーブルに着くようになった。
すると、FさんがTさんに対して「イジメ」とも思えるような暴言を吐くようになったのだ。
自分の意思をはっきり表せなくなって来たTさんに対し、Fさんが
「あんた、バカなんじゃないの?
ちょっと、この人、頭おかしくなってるわよ。
ホントにあんた、いい加減にしなさいよ。イライラするのよ、あんたを見てると!」
と言うようなことを、怒気を含んだ大声で叫ぶ。
それに対してTさんが何かノロノロと謝ろうとでもしようものなら、
「のろまね!愚図!頭おかしいわよ、あんた!
ちょっと、この人、もうすっかりバカになってるわよ!」
みたいに畳みかけるのだ。
そう言う暴言を吐く時のFさんの顔は、
普段のにこかやでしとやかな様子とはまるで別人のよう、
目が吊り上がり、般若の面みたいな顔つきになる。

ここからは、わたしの考えなんだけど・・・。
Fさんも認知症が進行してきて、人格が変化する段階になって来たんじゃないかな。
同じ老人ホームに4年近く通って傾聴も行っていると、
他にもそういうお年寄りを何人も見たもの。
特定のおばあさんに言いがかりとしか思えないような文句を付けて、
いつ見ても目の敵みたいにしてた人、
突如として機嫌が悪くなって、
わたしたちを小突いたり振り払ったりする人・・・。
「うわあ、このお年寄りはちょっと嫌だなあ」
内心そんな風に感じたことが何度もあったけれど、
時間が経つうちにそう言う行動はなくなり、
どちらのお年寄りも穏やかに、そしてぼんやりとして行った。

つまり、それは、「そういう時期だった」から起こったことだったのだ。
そして多分、ダンスホールの女王Fさんは、
これからしばらく「そういう時期」を迎えるんだろう。
そして多分、しばらく「そういう時期」を過ごした後は、
やっぱり穏やかに、でもぼんやりとするようになるのだろう・・・。