まだまだいなかのねずみ

日本の片隅で妻・母・非正規雇用者している栗ようかんの思索と日常

似非科学とか、ものの適正な価格とかについて、つらつらと。

「ねえ、そっちでも『ライザップ』のCM、怒涛の勢いで流れてる?」
東京で暮らしてる息子がそんな風に尋ねてきたことがあった。
「ねえ、第一、『ライザップ』ってなあに?」
そんな風に逆に尋ねたっけ。

それが確か今年の初め頃のこと。
今じゃわたしでも「ライザップ」が何かを知っている。
ゴールデンウィークに放送された「はに丸ジャーナル」で詳しく取り上げたのを見たから、
その料金が2ヵ月で37万円であることも、
全ての食事を撮影して専属トレーナーに写メしなくてはならないことも、
食べたものの内容を細かくトレーナーに逐一報告しなければならないことも、
食べて良いものは炭水化物抜きで、厳しい糖質制限を守らなければならないことも、
レーニング自体は非常にオーソドックスでむしろ古めかしい感じのやり方であることも。

その「ライザップ」が週刊新潮でやり玉に挙げられたらしい。
確かに、「ライザップ」に行ってない人間からすると、
2ヵ月で37万円=ひょえ~~~~っっっ!!!
と言いたくなる(ボッタクリ)料金ではある。
しかし、必要に迫られてそれだけの料金を払おうという覚悟のある人たちからすれば、
「これだけの内容なら妥当と思える」料金なのかも知れない。

ものの適正な価格って、案外難しいものだ。

似非科学」と検索すると、まず必ずヒットするものに、
ホメオパシー」という代替医療がある。
これは、「レメディ」と呼ばれるものを使って病気を治す、
という治療法(と呼んでいいものか微妙)なのだが・・・。
この「レメディ」がなかなかの曲者で。
簡単に言っちゃうと、様々なもののエッセンスを染み込ませた砂糖玉なのだが、
それに染み込んでいるエッセンスの濃度がハンパじゃなく薄い。
25メートルプールいっぱいの水に、エッセンスを一滴たらした程度の濃度らしい。
そんな濃度では、ただの水と何ら変わるところがないじゃないか!と言いたくなるが、
ホメオパシーの信者に言わせると、
「水が物体の記憶を持っているから薬として働く」のだそうだ。
その「レメディ」が結構な値段で売られている。
信じていない者からすれば、ただの砂糖玉を薬と偽ってボッタクリ価格で売っている!
ということにしかならないのだが・・・。

ここからが困るところ。
実際「レメディ」を飲んで病気が治ってしまう人が少なからずいるのだ。
現在では適用されなくなったらしいが、
イギリスなどでは少し前までこの「ホメオパシー」、
立派な代替医療として保険の適用が認可されていたらしい。

「こんなの、治療法でも何でもないじゃないか。
昔から知られているプラセボ効果だろ?」と言うのは簡単なのだが、
ただの砂糖玉で本当に病気が治れば、
副作用の心配も何もなくて、患者側としては有りがたいばかりなのだ、実際は。
患者に「これはよく効く薬なのだ」と信じ込ませるためには、
ただの砂糖玉がただの砂糖玉価格で売られていたのではいけない訳で。
高いお金を払ってもらって大いにありがたがってもらわなければ、
効き目が発現し辛くなるという現実がある。

結局のところ、買う側が納得して支払っているかどうかで、
ものの適正な価格は決まるのだろうか。
じゃあ、詐欺に遭ったけれど、騙されたことにすら気付かない人はどうなのか?とか、
詐欺とは言ってないけれど、「なんでも鑑定団」を見てると分かる通り、
胡散臭いことこの上ない骨董品について「適正価格かそうでないか」は誰が決めるのか?とか、
考え始めると訳が分からなくなって頭がぐらぐらしそうになる。

経済学部に行かなくて本当に良かった。
こんな難しいことを毎日考えなくちゃならなかったら、
大学を途中で辞めなくちゃならなくなっただろうからね!