まだまだいなかのねずみ

日本の片隅で妻・母・非正規雇用者している栗ようかんの思索と日常

文太さんのラストメッセージ

「政治家の世襲が当たり前になっている状況は民主主義と言えません。
政治が貴族化しているばかばかしさに有権者が目覚めなければ、
日本は良くなりません」
 
亡くなる4日前に菅原文太さんが奥さんに託したメッセージだそうだ。
 
菅原文太さんが亡くなった。
わたしのふるさと、仙台が生んだ大俳優。
仙台の人ならみんな「ああ、一高か・・・」と笑顔になる、
仙台一高のご出身。
(進学実績だけで言えば仙台二高に軍配が上がるものの、
一高はバンカラで自由闊達な校風で知られ、
地元の人たちからとても愛されている学校なのだ)
先日亡くなった高倉健さんが「静」のひとなら、
菅原文太さんは「動」のひとだったと、仙台の地元紙「河北新報」の記事にあった。
俳優を引退なさったのも、
「郷里の人々がまだ復興もかなわず仮設住まいを続けていたりするのに、
映画など呑気に撮っていていい場合ではない」
と思っての決断だったのだそうだ。
 
その文太さんの最後のメッセージ。
みんなが「言いたい」と思ってるけど、
特定のレッテルを貼られるのが怖くて口に出すことも出来ずにいることを、
ズバッと言ってくださったように感じた。
 
政治家がいくら神妙そうな顔をして
「国民のみなさまに痛みを強いるのは・・・」云々と言ってみたって、
彼らはまさに「貴族」なのだから実は国民の痛みがどんなものなのかも分かってないのだ。
消費税をたった3%上げただけなのに、
どうしてここまで消費が冷え込んでしまうのか、狐につままれたような気持ちだろう。
税を上げた途端、日本全国津々浦々、あらゆる物の値段が3%以上上がってしまったことを、
「生活者」でない彼らが知る由もない。
集団的自衛権の話を鼻息荒くする首相だって、
自分が弾に当たる危険がないからだろ、他人事だって高を括ってられるからだろ、
自分の孫や子が戦場へ行く可能性もないからだろ、としか思えない。
 
文太さんは現在の日本の状況を
「太平洋戦争へ突入する直前の状況と酷似している」と憂慮なさっていたそうだ。
激しく同意。
日本はいろいろな意味で危うくなっていると思う。
そこに国債の格下げだ。
日本は、実は先進国の中で国の財政状態が最悪、というレッテルを貼られてしまったのだ。
そういう現実から国民の目をそらそうと、オリンピックやら、リニア新幹線やら。
市民社会に対して為すべき施策とは思えない、と夫に言ったら、
「日本に市民はいないだろ、衆愚だけだ」
 
日本は一体どこへ行くのだろう?
それを憂いつつ亡くなられた文太さん。
心からご冥福をお祈りします。