まだまだいなかのねずみ

日本の片隅で妻・母・非正規雇用者している栗ようかんの思索と日常

「救急車を呼んでくれ!」

三連休の最終日、娘は友達と出かけてしまったし、
大人もどこかへ行こうかと自家用車を走らせている時に夫の携帯電話が鳴った。
夫の対応の仕方で義母からだとすぐ分かった。
「・・・うん?救急車を呼べって?死にそうだ?そう親父が言ってるのか?
じゃあ呼んだらいいじゃないか。いいから呼んでやれよ!」
ちょっと怒った様子で電話を切った夫に事情を尋ねると・・・。
義父と義母とがタバコのことでもめて口論となり、
義父が怒って家を出て行ってしまったという。
義父は家から少し離れた場所にある、自営業の事務所に行ったらしいのだが、
少しして家に電話が入り、
「具合が悪い・・・死にそうな感じがする・・・救急車呼んでくれ・・・」と。
そんな訳で、ついさっきまでピンピンしてたのに、救急車呼んでくれって電話が来たんだけど、
呼んでいいものかどうか?と尋ねる内容の電話だったのだ。
「実家に行かなくていいの?」と夫に聞いても、
「緊急性があればまた連絡してくるさ。
何も言って来ないってことは、大したことなかったってことだろうから、いいんだよ!」
夫はますます怒ったような口調で言い、わたしたちはそのまま出かけたのだった。
 
一応気になって義母に電話してみたら・・・。
「冗談だ、冗談。お前さんを困らせてやろうと思って救急車呼んでくれって言ったんだ」と、
義父はしれっとしていたそうだ。
お医者さんにどれだけ止められてもタバコを全く止めようとしない義父に、
義母は時々厳しい口調で注意するのだが、義父はそれが面白くなくてたまらないらしい。
それで何とかして義母を困らせてやろう、
苦しめてやろうと義父なりに知恵を働かせているようなのだ、と義母は言った。
さらに、「お腹が空いた、とお父さんが言うから家に帰って来るようにと言ったら、
また売り言葉に買い言葉みたいになってお父さんの頭に血が上ってしまい、
『お前さんがタバコがどうだのってギャーギャー言うから家に入れない。
もう、俺は事務所で暮らす!』って電話ガチャンと切られてしまった」って。
 
・・・どうしてそうなるかなあ。
50年もの付き合いで、
付き合い方のコツだっていい加減分かってるはずなのに。
 
「・・・あーあ、やってらんないわ。まるきり子供と同じなんだ、二人とも。
子供より始末が悪いのは二人ともプライドだけは高いってことだな。
いい加減にしろ!って言いたくなるよ、まったく!」
夫はぷりぷり怒りながら支度をし、今晩実家に泊まるために出掛けて行った。
「・・・あの、○○さん(夫のこと)今夜実家に泊まるつもりで向ってますから」
アパートに電話してきた義母にそう言ったら、
義母は途端に嬉しさを隠し切れない口調でこう言った。
「なんだ、悪いな~。休みのところ申し訳ないこと!」