まだまだいなかのねずみ

日本の片隅で妻・母・非正規雇用者している栗ようかんの思索と日常

被災地間格差、みたいなもの

・・・これを記事にしたら、すごく叩かれたりするんだろうな・・・。
 
東日本大震災の被災地には「格付け」みたいなものがある。
 
福島は別格被災地。
その下に石巻気仙沼大槌町南三陸町など、
津波被害が大きくメディアに沢山取り上げられた被災地。
そしてその下に、実は大きな被害が出たのに、
メディアに取り上げられることもなく、忘れ去られている沢山の被災地がある。
 
そんな忘れられた被災地の一つに、宮城県名取市がある。
仙台市に隣接した、仙台平野に位置する平らな町。
でも、ここも津波に飲み込まれた。
 
わたしの甥っ子の親友は名取市に住んでいた。
震災発生後、「津波が来るようだ」ということで
慌てて母親と妹と三人で避難した。
内陸方面へどんどん走って逃げて、歩道橋に上った。
「ここまで来ればもう大丈夫」。
安心した彼は携帯電話を取り出して動画撮影を始めた。
(どんな状況でも動画撮影してしまう世代なのだろうか。
そう言えば韓国でも、沈没した船に取り残され、命を落とした沢山の高校生たちが、
「こんな中で?!」と言いたくなるような状況で動画を撮影していたっけ。)
・・・と、異変を感じて彼が振り向いた時には、
母親と妹は迫って来た津波に飲み込まれてしまい、
どこにもいなくなってしまっていたと言う。
「ブログにアップしようと動画なんか撮るんじゃなかった・・・」
たった21歳で家族を目の前で失って、彼はこれから先どうやって生きて行くのだろう。
 
放射線量が高くてふるさとへ帰れなくなった」
「家族がバラバラに暮らさなくてはならなくなった」
「子どもの将来が心配だ」
「補償金が足りない」
「住宅の無償借り上げ期間を延長して欲しい」
メディアを通して伝えられる、福島の人たちから次々と出てくる様々な声。
でも、実はこんな気持ちでいる人たちだっているんじゃないだろうか。
「・・・福島ばっかし。」
 
わたしが住んでいる町でも、福島からの避難者だけを対象にした、
無料のイベントがいろいろ催されている。
住宅の無償借り上げ期間も、避難者からの要望で延長されるようだ。
意地悪なわたしは、いつまで特別扱いなんだろう、と思ってしまう。
特別扱いされている間は、彼らは立ち直ることが出来ないままだろう。
(たとえは悪いが「ハイチ」の例を見ればその意味が分かると思う)
それに、わたしが住んでいる町にだって、経済的に苦しいシングルマザーは沢山いる。
でも、そういう人たちは無料のイベントからは閉め出され、
福島からの避難者のお母さんたちだけに参加資格が与えられる。
まるで被災者特権ではないだろうか?
 
東日本大震災から3年以上が経過した。
傷付いた心が癒えていない人たち、
復興から程遠い状態にある町、
そういったものが実は福島以外の場所にも数えきれないくらい存在しているのだということを、
忘れてはいけないんじゃないかなあ。
福島は決して「最後の被災地」ではないのである。