まだまだいなかのねずみ

日本の片隅で妻・母・非正規雇用者している栗ようかんの思索と日常

白髪が大好き

もうすぐ娘の卒業式。
そろそろ髪を切りに行かなければなりません。
今まで通っていた美容室は車で行かなければならなくて、
雪で路面状態が悪い冬場は相当大変。
仕方がない、歩いても行ける近所の美容室へ行こうかな、と思いつつ・・・。
 
必ず「白髪、染めましょう」と言われるのが嫌い。
パーマは「かぶれるので」と言うと諦めてもらえる。
(これは嘘じゃなく本当のこと)。
「じゃあ、せめて白髪だけでも染めましょう」と言われるので、
「いや、かぶれると困るので」と答えると、
「じゃあ、ヘアマニキュアしましょう」と言われてしまい、
毎回断るのがとても大変なのです。
 
本当のことを言うと、わたしは白髪が大好きなのです。
今すぐにでも、真っ白くなりたい!というくらい好き。
高校生だった頃から「将来は白髪になろう」と思っていました。
 
わたしが通っていた女子高に「じい」と呼ばれる数学の先生がいらっしゃいました。
この先生が、信じられないくらい美しい白髪頭で。
それこそ、黒い毛が1本もない、神々しいほどの白髪だったのです。
「じい」は、本当に穏やかで知的でしかも優しくて、
「理想の大人像」を体現しているかのような先生でした。
わたしの心の中で、理想の大人像が醸成されて行った高校時代、
美しい白髪頭がそれに欠かせないものとして強力にインプットされたのです。
 
それともう一つ。
わたしの母がずーっと髪を染めていたこともあるかもしれません。
母はわたしがまだうんと幼かった頃から髪を染めていました。
水商売の女性以外で髪を染める人が珍しかった頃からずーっと。
母は若白髪だったのだと思います。
幼かった頃、鏡台に向かっている母の髪の根元が、
びっしりと白くなっているのを見た記憶がありますから。
「見た目の美しさや若々しさ」に最後の最後までこだわり続けた母は、
白髪になる自分がきっと許せなかったのだと思います。
 
わたしは母のようになりたくはないなあ。
どんなに美しい花でも、見ごろが過ぎれば徐々に色褪せ、
しおれ、やがて散って行くのが運命。
見ごろのままの美しさをとどめているかに見えるプリザーブドフラワーだって、
実はとうの昔に生命は失っている訳で。
変わらぬ美しさを保ちながら生き続ける、なんてことは不可能なのです。
だったら、経年変化を楽しもう!
白髪、いいじゃない?
染めた訳でもないのに、髪の色が変わるなんて素敵!
ジブリアニメ「ハウルの動く城」の中で、
ヒロインの白髪頭をハウルはこう呼んでいましたっけ、
「星の色の髪」とね。
 
「わたし、白髪が好きだから染めたくないんです」
勇気を出してそう美容院で言ってみようかな。