まだまだいなかのねずみ

日本の片隅で妻・母・非正規雇用者している栗ようかんの思索と日常

男性の高齢者に「名刺」を活用させては?

わたしのとうさんは、亡くなる1ヵ月ほど前からとある老人ホームに入ってまして。
わたしは週に2~3回は会いに行っていたんですが、わたしが行かない日には、
とうさんは部屋からトイレと食事の時以外は一歩も出ず、
誰とも話もせずに引きこもりしておりました。
「じいさん友達出来た?」
「いいや。」
「誰かに話しかけてみた?」
「いいや。」
「どうして?」
「・・・だって、話すきっかけがない。
何を話したらいいのか分からない。
話せと言われたって、何も話せない」
とうさんに会いに行くたびに、そんな会話を繰り返しておりました。
 
片道2時間以上かかる道のりを往復しながら、
一体どうして話しかけることすら出来ないのかを考えてみました。
・・・名刺だ。
名刺がないから、相手と自分との力関係が分からず、
どういう口調(敬語をつかうべきか、それともぞんざいな口調で大丈夫か)で
話したらいいか分からないし、
相手がリタイヤ前にどんな職種だったか分からないと話の端緒が見つからず、
「話すきっかけがない」ということになってしまうのではないだろうかと。
 
そうだ、名刺を作ればいいんだ、
とうさんが男子校で化学を教えてたことや、かあさんを失ったばかりであること、
生年月日と年齢、生まれ育った場所などの情報を、
老眼や白内障の人でも見やすいように大きな厚紙に書いて持たせてみよう!
作戦としては良かったと思います。
でも、とうさんは名刺を持たせる前に亡くなってしまったのです。
だから実際の効果のほどは分かりません。
 
わたしが通っているボランティア活動の舞台となっている老人福祉施設でも
男性の利用者さんたちは、互いに話す訳ではなく、
ただめいめいバラバラな場所に陣取り、テレビを見たり新聞を読んだりしているだけ。
名刺があれば、お互い自己紹介せずに相手に自分の基本情報をしってもらえるし、
自分もまた相手の基本情報をしっかりと押さえることが出来るのではないかと思います。
結構いい方法だと思うんだけど!
・・・って贔屓目かなあ?