まだまだいなかのねずみ

日本の片隅で妻・母・非正規雇用者している栗ようかんの思索と日常

家を建てなくて良かった~その1~

杉浦日向子さんの「一日江戸人」という本に、
江戸の町に住んでいた庶民の生活について驚くような話が載っています。
 
>長屋では、親子三人が一か月一両あればひもじい思いをしないで暮らせました。
>棒手振り(ぼてふり)と呼ばれる零細商人でも一日四、五百文の稼ぎがありました。
>一両を六千文として、約十~十五日間働けばひと月分の生活費がまかなえることになります。
>わかりやすくするために、あえて一両を約八万円に換算(これは米十キロを約五千四百円としてのもの)
>して、一か月の生活費の内訳を見てみましょう。
 
>家賃 400文  6000円
>米代 一日8合として36㎏ 19440円
  (これは1日3食として、1食につき夫が3杯妻が2杯、子供が1杯ずつ食べる量)
>湯銭 1回3人20文  毎日入って9000円
>光熱費 300文 4500円
>おかず代 1日40文として 18000円
  (24文もあればマグロの切り身が大人3人で食べきれないほど買える
   小ハマグリが1升20文、納豆が丼に山盛りで8文)
>床屋 1回24文 (4回行くとして) 1440円
             支出計 58380円
              収入  80000円
              残高  21620円
                        *新潮文庫「一日江戸人」74~75頁より
 
なんと!あくせく働いても年中貧乏でお腹が減っていたイメージの江戸の町人は、
ひと月の半分程度働けば家族3人で楽して暮らせて、
見世物小屋へ行ったり芝居を見たり、余裕のある生活を送れていたそうなのです!!!
 
物価が非常に安かったということが大きいとは言え、
現代のわたしたちの余裕のなさとは大違いの生活は一体どこから来るものだったのか・・・。
 
そうです、江戸の町人はそのほとんどが長屋住まいだったのです!
だからこそ、のほほんと暮らせていたのです!
 
・・・と言う訳で、我が家は結婚以来ずーっと社宅住まいです。
一戸建てに住んだことは全くなく、ずーっと3部屋のアパート暮らし。
でも、「良かった」と思ったことは数限りなくあっても、
「家を建てておけば良かった」と思ったことはたった一度しかありません。
(その一度とは、仙台の父を一緒に住まわせてあげられなかったときです)
 
記事が長くなりそうなので、どうして家を建てなくて良かったと考えているかについては、
「家を建てなくて良かった~その2~」として別の記事にしようと思います。