まだまだいなかのねずみ

日本の片隅で妻・母・非正規雇用者している栗ようかんの思索と日常

気になるお母さん

わたしは現在アパート形式の社宅に住んでいる。
階段の両側にドアがある形で、うちと同じ階段を使う家が5軒ほどある。
その中に1軒、とても気になる家があるのだ。
 
とにかく、子供が泣いてばかりいる。
それも、まるで火が付いたような泣き方だ。
外出時なども「ママ~、いやだ~!」「やめて~!」など、
階段中に子供の叫び声が響き渡る。
そう言えば夏の間、暑くて窓を開けていた時期に、
「開けてっ、ママ、開けて~っ!」という子供の叫び声と、
戸をバンバン叩く音が近所中に響いてたことがあった。
1階に住んでるわたしは、てっきりアパートに隣接する家での出来事かと思い、
「あんな立派な家に住んでるし、おばあちゃんも一緒にいるみたいなのになあ」と思ったけど、
今になって考えてみれば、2階上の件の家のベランダで起こっていたことだったのだろう。
 
昨日は、本当にすさまじかった。
火が付いたような子供の泣き声がいつもにもましてすごかったので、
わたしはどの家で起こっているのか確かめに階段を上がってみた。
声は3階の家から聞こえて来た。
「ママ、開けて~っ!」バンバンバン、バンバンバン(戸を叩く音)。
ちょっと静かになったかと思うと、
「やめて、ママ、やめて~っ!」そして、また火が付いたような泣き声。
しかし、時折聞こえて来る母親のものらしき声は結構穏やかで、
怒鳴ったり、子供をぶったりする音は聞こえては来なかった。
わたしは階段の途中で耳をそばだてながら、呼び鈴を押すべきか否か、迷っていた。
そして、結局昨日は呼び鈴を押せなかった。
 
3年ほど前。
奇しくも3階に住んでいた人が、子供を虐待してたことがあった。
その時は、アパート中の人たちで知らない者はなかったのでは?と思うくらい、
子供の泣き声と、お母さんの怒鳴り声がすさまじかった。
でも、その時もわたしは声を掛けることが出来なかった。
わたし自身、長男が生まれたばかりだった頃、同じ社宅の先輩奥さんに
「赤ちゃん、泣いてばかりいるのねえ」と声を掛けられたことがきっかけとなって、
乳児虐待に走りそうになってしまった苦い経験があったからだ。
その時は、夫に事情を話し、会社の厚生課から手をまわしてもらって、
保健師さんに訪問してもらった。
それが功を奏したのかどうかは分からないが、その後一時期ほどのすさまじい虐待は止み、
翌年の春、ご主人はものすごく田舎の営業所(とても暇なところらしい)に配置転換になった。
風の便りで聞いたところによると、ご主人の仕事が忙しくなくなって、
家族で外出したりする時間が出来、奥さんは別人のように穏やかになったとか。
 
昨日、帰宅した夫に子供の泣き声が3階の家からだったことを話した。
階段中に泣き声が響いたりしていることも。
夫が、その家の隣に住んでいる人と懇意にしているので、
気付いたことがないかどうか、尋ねてみてくれることになった。
 
本当は、「大丈夫ですか?」と声を掛けたい。
昔、わたし自身も追い詰められて大変だったこと、
そこからどうやって脱出して、子育てを楽しめるようになっていったかなど、
参考になるなら伝えたい・・・とは思う。
でも、最近の若いお母さんたちは、本当に声を掛けられるのを嫌うのだ。
社宅だと言うのに、挨拶もしない人が大半。
こちらから声を掛けると、ごにょごにょ「ああ、どうも」程度に返してくれれば上等な部類だ。
ましてや、職場の上司の奥さんに「子供さんのことで何か困ってない?」なんて聞かれたりしたら、
「もうこの社宅には住んでいられない!」みたいに考えてしまうかもしれない。
 
とにかく、夫にそれとなく探りを入れてもらうしかないな。