まだまだいなかのねずみ

日本の片隅で妻・母・非正規雇用者している栗ようかんの思索と日常

秋の日のブランコ

今日11月14日は「アンチエイジングの日」なんだって。
(11月14日が「いいとし」と読めるからだってさ。
ラジオからの受け売りです。)
わたしが住んでいる町のローカルFMでは、
「あなたは戻れるとしたら、一体人生のいつに戻りたいですか?」というテーマで、
リスナーからのメールを募集していた。
「中学の頃に戻って運動部に入りたい」
「高校の頃に戻ってもっとちゃんと勉強して大学に行きたい」
等々、圧倒的に中学高校の頃に戻りたいという人が多かった。
 
ラジオを聞きながらわたしもつらつら考えてみた。
もし、戻れるとしたらどの日に戻りたいだろうかと。
 
わたしは、あの秋の一日に戻りたい。
紅葉が美しく、ドングリが拾える季節、空は快晴。
わたしは当時住んでいた町の神社の境内にある、小さな児童遊園にいる。
大きなケヤキの下にあるブランコを漕ぐわたしの膝には、
まだ小さかった娘が乗っている。
「お手々離しちゃダメよ」と言いながら、わたしはブランコを漕ぐ。
「お母さん、もっと高く、もっと高く漕いで!」娘の声に、
わたしはブランコをどんどん高く勢いをつけて漕ぐ。
きれいに色づいた葉の間から見える真っ青な空、
その空に届けとばかり、高く、高く。
「怖くない?絶対お手々離しちゃダメよ」
「全然怖くないよ、もっと、もっとだよ」
キャーキャー言いながら楽しげな笑い声を響かせる娘を膝に乗せたまま、
わたしは「このまま時が止まってしまえばいいのに」と心の中で願っていた・・・
 
時は止まることなく流れたけれど、
あの秋の一日は、とてつもない幸福感といささかの感傷とともに、
わたしの心のアルバムにしっかりと焼き付けられている。
もし、戻れるものなら、あの秋の一日に戻ってもう一度娘とブランコに乗りたい、
そうわたしは願う。