まだまだいなかのねずみ

日本の片隅で妻・母・非正規雇用者している栗ようかんの思索と日常

ときどき「ちりとてちん」~第21話、第22話~

喜代美が大阪へやって来てからのお話も2週目に入っております。
それにしても、この気持ちよさは何なんでしょうか。
舞台が小浜から大阪へ移り、草若師匠、草々にいさん、小草若さん、尊建、
熊五郎さん、咲さん、菊江さん、磯七さん等々登場人物も一挙に増えたにも関わらず、
その人柄やバックグラウンドなどを、説明に偏ることもなく、
心地よいスピード感を維持したままどんどんお話を展開させていく脚本の妙。
そして、「適材適所」としか言いようのない配役の妙。
また、今回再見して改めてBGMの素晴らしさにも驚かされました。
そう言ったものに支えられたこのドラマ、
まるで毎朝15分ずつ贔屓の噺家さんの十八番を見せてもらっているかのようです。
たった15分の間に文字通り泣いたり笑ったり。
もう忙しくてかないません。
(それにしても、「季節性うつ」で具合が悪くなるこの時期に
ちりとてちん」を再放送してくださるとは・・・NHKに感謝、感謝。
このドラマのおかげで、何とか日常生活は維持出来そう・・・かな。)
 
今日のイチオシ!(第21話分)
「鼻毛、出とんぞ。・・・うそや、このボケ。」
 
何とも柄の悪い「今日のイチオシ!」ですねえ。
これは、草々にいさんのセリフです。
徒然亭一門が高座に上がれなくなる前まで、
草々にいさんは三国志劉備孫権曹操に例えられた
上方落語三人衆の一人とされていたわけですが、
その中の一人土佐屋尊建に挑発を受けます。
草々にいさんが3年前の徒然亭一門会で師匠の穴を埋めようと
「辻占茶屋」を無理にかけて失敗したことを意地悪く揶揄する尊建。
その前の会話からすでに尊建が嫌味なヤツであること、
草々にいさんとは落語に対する考え方が全く異なっていて
二人は対立関係にあったことなどが分かっているため、
一触即発の空気の中草々にいさんが尊建を殴るのでは・・・という雰囲気になります。
(これまでの回で草々にいさんがいかに巨大で乱暴でがさつか、
ということがこれでもか!というくらい強調されていたため)
しかし・・・草々にいさんは殴らない。
「鼻毛、出とんぞ」と言われて慌てた尊建が鼻を押さえると、
(尊建は自分で「イイ男」だと分かってる自惚れ屋だということまで、
こんなに短い登場場面でちゃんとこちらに伝わって来ることがすごい)
「うそや、このボケ」と吐き捨てて草々にいさんは立ち去ってしまいます。
草々にいさんは、自分のことで他人に暴力をふるうことは決してないひとなのです。
師匠や、その他自分の大切なひとを守る時にだけしか、
自分の力を使うことがないんですねえ。
こういうのを、本当の「男気」と言うのでしょう。
あっという間に喜代美が「小さな恋のメロディ」状態になってしまうのもうなずけますね。
 
 
今日のイチオシ!(第22話分)
草若師匠の立ち位置
 
あれ・・・何じゃ、この今日のイチオシ!は。
でも、本当にそうとしか言えないのですね。
一見、飲んだくれでだらしなくて、グダグダの世捨て人みたいにしか見えない師匠。
でも、大切なことはすべてきちんと見ている。
草々のことも、喜代美のことも、きちんと見える位置にいるんですね。
そして、何も言わないけれど、ちゃーんと心の中でいろいろ考えていて、
「ここぞ」と言うときに、ぼそっとつぶやく言葉が、
若い二人を絶妙にアシストしてくれるんですね。
まさに、大人の鑑です。
親としてもかくありたいものだなあ、と思います。
草若師匠、尊敬しております