まだまだいなかのねずみ

日本の片隅で妻・母・非正規雇用者している栗ようかんの思索と日常

今どきの中学生の会話NG集

昨日の夕飯どき。
中3の娘が「あたしさ、高校に入ったらもっと無口になろうかと思ってるんだ」と言う。
「どうして?結構おしゃべりな方なのに。
それとも、うちでだけ無理しておしゃべりしてるの?」と聞くと、
「ううん、そういう訳じゃないけどね。
何だか、学校で友達と話すのが嫌になっちゃったんだ」と。
友達とケンカした訳でもないし、仲間外れされている訳でもない。
でも・・・。
 
娘から聞いた話は、ちょっと薄ら寒くなるような内容だった。
以下、今どきの中学生の日常会話NG集。
 
・同じ話を2回以上してはならない
 誰かに同じ話を2回以上聞かれてはならない。
 途端に「しつこい!」と吐き捨てられる。
 その話を聞いたことがある子、まだの子が混じっている場合も不可。
 聞いたことがある子に「しつこい!」とやられる。
 ちなみに「しつこい」は中学生にとってサイテーのこと、らしい。
 
・感情のこもった話をしてはならない
 すごく嬉しかった、楽しかった、悲しかった、悔しかった・・・。
 そういう「ナマの感情」がこもった話をしてはならない。
 聞いている子から「ウザっ」とすぐ吐き捨てられる。
 ちなみに「ウザい」も中学生にとってサイテーのこと、らしい。
 
・「キャラ」らしくない話をしてはならない
 友達グループの中で、クラスの中で、部活動の中で、
 子どもたちはそれぞれ「キャラ」を「演じて」いる。
 (例えばうちの娘は大きすぎる胸とぽっちゃりの体型をネタに、
 自虐的に笑いを取るキャラ。)
 その「キャラ」は、まるで漫画の登場人物ででもあるかのように、
 「らしいこと」「らしくないこと」が暗黙のうちに決められている。
 それから外れる(と考えられる)ような話をしてはならない。
 途端に「はあん?」と小馬鹿にされる。
 そして次に「何か、上から目線じゃね?」「えらそーじゃね?」と総攻撃される。
 「ウザっ」で切り捨てられることもある。
 
・自分の得意なことでも他人に何かを教えてはならない
 「何様のつもり?」「えらそーに」「ウザっ」などの罵声が飛ぶ。
 
「・・・じゃあ、一体何を話したらいいのさ。」と娘に尋ねると、
「昨日のドラマの話とか、芸能人のブログの話とか。
『昨日のドラマ、見た?』『見た見た。〇〇、超ヤバかった』
『うん、超ヤバかった』 
『○○のブログ読んだらさ、超うぜーの』『えっ、マジ?それ、ヤバくね?』
みたいな会話を延々とやってる。
なんか、アホくさくなっちゃってさ。
あたしは皆が見てるようなアイドルが出るドラマも好きじゃないし、
芸能人がブログに何を書こうが興味ないし。
だから、何にも話すことがないし、そんな話に付いて行く気もないしさ。
今突然話すのをやめるとみんないろいろとうるさいだろうから、
高校入る時に違うキャラになろうかと思って。
毎日本を持ってって休み時間は一切話さないで本を読もうかな、なんて。
あっ、〇高に入れば予習や宿題が大変だから、
休み時間に余計な話をしてる暇なんかないのか。
ある意味、ありがたいかも。」
 
学校での保護者会の時、
「うちの子、家では学校のことをひと言も話しません」という保護者が非常に多い。
みんな、自分ちの大事なお子達がこんなことになってるのを知ってるんだろうか。
「ウザっ」「キモっ」「ヤバっ」「死ねっ」「カスっ」「ダサっ」基本の言葉はそれくらい、
あとは程度を表す「超」が付くか、付かないか、みたいな貧困な言葉を吐き捨てながら、
心の中に溜まっていく「喜怒哀楽」や、
そういう風に分類することも出来ないようなカオスな感情の数々を、
親や教師はもちろんのこと、友達の前でさえ表に出すことを許されず、
日々不毛な「会話」(あれをそう呼んでいいのかさえもうおばさんには分からんが)を続け、
「キャラ」を演じ、どんどんと疲弊していく子どもたちの実情を、
「カネ、カネ、カネ」と外で働くことだけに夢中になっている大人たちは知っているのだろうか。
 
ちなみに。
先ほど挙げた「中学生の会話NG集」にあることすべてが、
無条件で許されてしまう人種も存在している。
それこそが、クラス内カーストで頂点に君臨する者たちである。
娘のクラスで言うと、生徒会長で成績学年トップをひた走るYちゃんと、
成績は常にブービー賞状態だがサッカーのユースクラブに所属して、
全国大会にも出場しているRくんがそれに当たる。
(大人の価値観から言うと輝かしいものを持っているように見える二人だが、
実はYちゃんはたかりの名人であり、
Rくんはいじめの首謀者である。
Rくんの野郎は先日うちの娘に向かって「処女みたいに見えるよ」と抜かしやがった。
11月の進路説明会の時にRくんのママに厳重抗議しようかと思ったが、
「チクッた」と言われて翌日からいじめに遭うからやめて、と娘に懇願されている。
こういうときだけは、わたしも「スタンド」が使えたらいいのにな、と思う。)
 
***補足***
「スタンド」とは・・・荒木飛呂彦作のコミックス「ジョジョの奇妙な冒険」に出て来る。
           本人とは別の、超能力みたいなものが使える不思議な存在らしい。
           「アラジンと魔法のランプ」に出て来るランプの精みたいなものを想像していただくと、
           理解しやすいかもしれない。
           ただ、「スタンド」は本人が持つ力で、ランプの精のように別の物から出る訳ではない。