まだまだいなかのねずみ

日本の片隅で妻・母・非正規雇用者している栗ようかんの思索と日常

めがね

お洒落とは縁遠いわたしが、
たった一つだけ昔からこだわり続けているもの。
それは、めがね。
めがねだけはあまり流行遅れでないものをかけている。
 
めがねとは、小学5年生から今までだから、もう35、6年の付き合いになる。
大学1年生だった頃。
同じ専攻にちょっと素敵な先輩がいた。
ある日、その先輩に言われたのだ、
「ねえ、ちょっとめがね外してみて」と。
お風呂に入るときと寝るとき以外は絶対外さないめがねを、
わたしは思い切って外して先輩に顔を向けた。
すると、その先輩はしばしの沈黙のあと、こう言ったのだ。
「・・・キミって、めがね美人なんだね」
もう一生めがねを外すもんか!とそのとき心に固く誓った。
 
3年ほど前からかけていためがねは、
茶色と緑色で(娘曰く「恐竜色だ!」)めがね屋さんに
「誰にでも似合うフレームの形で、しかもあまり売ってない形です」とすすめられたものだった。
しかし、日本製のフレームなのに、ものすごくネジが緩みやすく、
1週間に2、3回マイクロドライバーで締め直さなくてはならないのが煩わしくなったのと、
かあさんやとうさんが相次いで亡くなったり、
息子が国立大学に不合格になったりと、なんだか験が悪い感じがして嫌になったのとで、
思い切って新しいフレームに換えることにした。
めがね屋さんも、町の情報誌に載っていた初めて行く店にすることにした。
 
今回は、絶対に真ん丸なめがねにする!と心に決めていたのに、
いざ買う段になると、やっぱり二の足を踏んでしまった。
(「何、そのバカみたいなめがね。それかけて学校に来ないでよ!」と
娘に叱られるのが怖かったのだ)
結局結構丸っぽく見えるけど、実は全然真ん丸ではないフレームにした。
流行は繰り返す。
実はこれ、わたしが大学に入った頃かけていたのとよく似た形のフレームだ。
「Silhouette(シルエット)」というオーストリアのブランドのもので、
なんと一切ねじを使ってないという。
かけてみたら驚くほど軽かった。
そして、ショッキングなことに、ついに遠近両用めがねじゃないとダメだって。
確かに、最近近くや細かいものを見たりするときに
めがねを外した方が見やすくなってたもんね。
とうとう名実ともに立派なおばさんの仲間入りだ。
(外見的にはとうの昔にどっぷりおばさんだったが)
 
新しいめがねが出来上がってきて、娘に「どう?」と聞いてみた。
娘は「ふん」と鼻を鳴らしたあとひと言、「見慣れん!」
さらに追い打ちをかけるように「前のヤツの方が似合ってた」
・・・ガーン!
まあ、娘には毎回散々なことを言われてるからなあ。
 
そのうち、見慣れるでしょう。
軽いし、緩むネジもないし、格段に見やすくなったしで、
わたしとしては大満足であります。